オルタナティブ投資

オルタナティブ投資で考えるポートフォリオ構築

主なポイント

元本割れのリスクがあります。投資資産の評価額やインカムは増加することも減少することもあり、保証されているものではありません。投資家は当初の投資金額を回収できない可能性があります。

・資本市場が進化するにつれて、伝統的なポートフォリオにプライベート市場資産を追加する機会も拡大しています。 
・プライベート市場は独自の投資機会を提供し、パブリック市場へのエクスポージャーを補完する特性も持ち、これまでポートフォリオのリターン向上に寄与してきました。
・プライベート市場をポートフォリオに組み入れる戦略の一つとして、伝統的な60/40の資産配分を「現代的な」50/30/20の枠組みに移行することができます。

新たな市場に向けた新たな考え方

伝統的な分散ポートフォリオは通常、パブリック市場全体のベンチマークを基準としています。パブリック市場の指数は透明性が高い一方、ポートフォリオ構築の観点からは限界があります。

・株価指数は時価総額加重であるため、最大規模の企業やセクターにエクスポージャーが集中します。
・債券指数は発行体加重であるため、ポートフォリオが意図しない金利リスクや集中リスクにさらされる可能性があります。

これは、伝統的な株式60%/債券40%(60/40)のポートフォリオが、構造的に株式ベータと債券デュレーションという2つの主要なリターン要因に過度に偏る可能性があることを意味します。

しかし、より多くの投資家が幅広い資本市場にアクセスできるようになっており、これは、リスクとリターンの新たな源泉にアクセスすることでポートフォリオの成果を高める可能性のある機会が増加していることを意味します。

プライベート市場の位置づけ

幅広いポートフォリオ構築要素へのアクセスを求める投資家にとって、特にパブリック市場と比べてプライベート市場の投資機会が増加する中で、プライベート市場は、ポートフォリオにおける重要なエクスポージャーとなりつつあります。

ここ数十年、上場企業の数が減少する一方で、非上場企業の数は増加しています。米国では、過去30年間に大規模な非上場企業(従業員が100人以上)の数が46%増加した一方、上場企業の数は24%減少しました¹。この傾向は米国に限られたものではなく、調査によると、多くの先進国で上場企業の数が減少しています。

また、プライベートな資金調達を求める企業は増加しており、レバレッジド・ローン市場における銀行による資金供給の割合は、30年前の72%に対し、2024年にはわずか25%となっています²。

要するに、現在、資本形成の場は取引所の外にも広がっており、プライベート市場の役割は拡大し、ポートフォリオは進化と成長を続ける投資機会に幅広くアクセスできるようになっています。

プライベート市場のツールキット

プライベート・エクイティとプライベート・クレジットは、プライベート市場への最も一般的なエクスポージャーです。下記のグラフに示すとおり、いずれも過去10年間、伝統的な資産クラスを上回るリターンをもたらしてきました。

リターン向上の可能性:2024年末時点の10年間の年率換算リターン

公開非公開の株式クレジットのリターン比較

出所:ブルームバーグ、MPI、2014年12月31日から2024年12月31日までのリターンを測定。「プライベート・エクイティ」は、2024年9月30日現在のプレキン・プライベート・エクイティ指数で表しています。「大型株」はMSCI ACWIネット・リターン指数、「小型株」はMSCI ACWI小型株ネット・リターン指数で表しています。「プライベート・クレジット」はプレキン・プライベート・デット指数、「総合債券」はブルームバーグ・グローバル総合トータルリターン指数、「ハイイールド債」はICE BofA USハイイールド債トータルリターン指数を指します。過去のパフォーマンスは、将来のパフォーマンスを保証または示唆するものではありません。指数のパフォーマンスは例示のみを目的としています。指数に直接投資することはできません。

不動産とインフラストラクチャーも、利用されることの多いプライベート資産クラスです。これらがポートフォリオで果たす役割は、多くの場合、値上がり益とインカムの両方を提供することにあり、有形の経済的価値を有する実物資産であることから、インフレ・ヘッジ効果も期待できます。

プライベート市場は、リターンがパブリック市場とは異なる構造的要因によって牽引されるため、分散ポートフォリオの中で魅力的な補完要素となり得ます。

・投資対象資産の非流動性の対価として、プレミアムが得られる場合があり、流動性の高いストラクチャーに過度に依存する可能性(ならびにそれに伴うリターン獲得機会を逃すリスク)を相殺する助けとなり得ます。 
・定期的な評価は、継続的な時価評価と比べて透明性が低いことを意味しますが、ニュースや短期的な市場変動に起因するボラティリティに対して感応度が低くなる可能性があります。 
・運用会社間で投資成果のばらつきが大きいため、運用会社の選定が投資成果を左右する要因となる可能性があります。 
・多様な資本コミットメント・ストラクチャーや様々な保有期間が存在するため、投資期間や投資目標に応じた多くの選択肢があります。

60/40から50/30/20へ

プライベート市場への「最適な」配分は、個々の投資家の目標とリスク許容度によって異なります。例えば、その投資家は長期的な成長を求めているのか、インカムを求めているのか、そして税務上の要因を重視するのかなどです。

投資判断が個別的に行われるべきであることは当然ですが、現在の市場環境を見ると、伝統的な60/40ポートフォリオが依然として適切なのか再考する必要がありそうです。これは、投資環境の変化に伴って「分散」の定義も進化する必要があることを意味しているのかもしれません。

50/30/20の枠組みは現在の幅広い投資機会を反映する一つの方法です。

・50%:パブリック市場の株式 
・30%:パブリック市場の債券 
・20%:オルタナティブ投資(プライベート市場とリキッド・オルタナティブを含む)
 
実質的にこのモデルは、株式を60%から50%に、債券を40%から30%に減らすことで、その他の多様なリターン源泉に投資する20%の枠を作ることを提案するものです。

この新たな配分のための資金をどう確保するかによって、ポートフォリオのリスク・リターン特性が大きく影響を受けます。ブラックロックのポートフォリオ構築担当者の多くは、可能であれば類似の資産から資金を振り向ける戦略を提案しています。これは、株式に類似したリスク特性を持つものには株式から、債券に類似したリスク特性を持つものには債券から資金を振り向けるというものです。

リスクの高い資産への配分原資を債券から捻出するとポートフォリオのリスクが高まる可能性があり、リスクの低い資産への配分原資を株式から捻出するとリスクが低下し、期待リターンにも影響が及ぶ可能性があります。

プライベート市場への参入

現在の資本市場における投資機会は、伝統的な上場株式や投資適格債券のベンチマークを大きく超えて広がっています。プライベート市場は、伝統的資産のポジションを補完し得る独自の投資機会へのアクセスを提供します。

ブラックロックの最近の調査によると、ウェルス分野では、2030年までにプライベート市場への配分が大幅に増加すると見込まれており、70%超の投資家がポートフォリオの5~20%をプライベート市場に配分すると予想されています。現在は、ウェルス分野の投資家のおよそ3分の2が、プライベート市場への配分をポートフォリオの0~5%にとどめているとみられています3。

20%の配分を目指す場合でも、顧客のニーズにより適した異なる水準を目指す場合でも、プライベート市場戦略の検討と組み入れのための4段階の枠組みをブラックロックは提供しています。

1. プライベート市場へのエクスポージャーを選択する
ポートフォリオの目標達成に寄与するオルタナティブ資産クラスを選択します。

2. 配分比率を決定する
リスク/リターンの前提と非流動性資産に配分可能な資金枠に基づき、配分規模を決定します。

3. 適切な投資先を選択する
目標とするエクスポージャーを得るために適切な投資ビークルを選択します。

4. 「類似する」資産クラスから資金を振り向ける
リスク、リターン、株式との相関に基づき、伝統的な資産クラスから資金を振り向けます。

1. 出所:米国国勢調査局「Statistics of U.S. Businesses」、世界銀行、国際取引所連合のデータベース。2023年12月現在。入手可能な最新データを示しています。
2. 出所:S&P LCD、PitchBook LCD。2024年3月31日現在。
3. 本調査は、2025年3月27日にロンドンで開催されたブラックロックの「Private Markets Wealth Summit」において、欧州および中東の17カ国から参加したウェルス分野の専門家70名を対象に実施されました。ここでいう「ウェルス分野の投資家」とは、調査回答者の顧客を指します。記載された予測が実現する保証はありません。本情報は例示のみを目的としています。