Part 3 老後の生き方について考える
ブラックロック・ジャパン株式会社

人生100年時代の「リタイア後の生き方」

「人生100年時代」に経済的に安定した人生を送るためには、年齢を重ねてもなお、健康に活動し続けることのできる多様な生き方と、年金をベースとした老後資金を確保する財政的な側面の両面を考えておく必要があります。そこでリタイア後の生き方を考えるうえで参考となる、世界と日本の状況をご紹介したいと思います。

多様なライフサイクルへ

まず知っておきたいのは、寿命の伸びに伴ってライフサイクルの構造が変化しているということです。

20世紀までは、生まれてから20歳ごろまでが「教育を受ける時期」で、その後「仕事をする時期」があり、60歳を目安に「リタイアメント期」に入るというのが一般的なライフサイクルでした。しかし現在では長寿化によってリタイアメント後の期間が徐々に伸びていることから、「リタイア後に何をするか」が重視されるようになってきています。米国では、リタイアメント後に改めて学び直したり、仕事を継続したり、ボランティア活動をしたり、様々な選択肢を選ぶ人が増えています。

長寿化に伴うライフサイクルの構造的な変化

出所:ブラックロックが作成

このような変化の一端を示すデータがあります。米国では、55〜64歳で新たに起業した人の割合は、1996年には14.8%でしたが、2016年には25.4%に拡大し、20〜34歳の24.3%よりも高い割合を示すまでになりました。つまり、高齢者世代が若年層を上回る水準で起業に踏み切っているのです。

退職年齢の延びが、
健康的な生活に影響する事例も

年齢を重ねても働き続ける人が増えれば、国の経済基盤は強くなります。55〜64歳の就業率が経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も高いのはスウェーデンです。55〜64歳の人のうち、66.4%が就労しています。もしスウェーデンと同水準で高齢者が就労すれば、国内総生産(GDP)はイタリアで10.0%、フランスで9.6%、米国や日本でも2%以上の押し上げ効果が見込まれるというデータがあります。

さらに、個人が高齢になっても働き続けることは、長寿と健康的な生活という観点でも大きな意義があります。英国では、退職年齢が延びるほど余命が長くなるという調査結果もあるのです。

世界の年金財政の状況

こうした社会の変化やデータからは、「人生100年時代」を迎える中、人々がより長く社会で活躍できるように考える必要性が高まっていることがうかがえます。

世界では、リタイア後のための貯蓄の不足額が2015年時点で70兆米ドルに上っていますが、これが2050年には400兆米ドルまで膨らむと予想されています。不足額拡大の要因は、公的基礎年金と公務員年金の積立不足です。

世界の主要国の退職貯蓄不足額

兆米ドル、2015年、100% = 約70兆米ドル
出所:World Economic Forum, “We’ll Live to 100 – How can we afford it?” ,pp.7 and 8

日本については、すでに平均余命などに合わせて年金給付額を調整する「マクロ経済スライド」が導入され、年金支給開始年齢の引き上げといった制度改革が行われているため、不足額の年間増加率は世界で最も低くなっていますが、それでも2050年には26兆米ドルが不足する見込みです。また、現役世代の平均収入に対して受け取れる年金額の水準を表す「所得代替率」は、日本では約40%となっており、各国と比べて低い水準にあります。

日本が世界有数の長寿国であることを踏まえると、一人ひとりが長生きリスクへの備え方を考え、リタイア後に向けた資産形成に取り組むことが重要だと言えます。

有田 浩之
ブラックロック・ジャパン株式会社 代表取締役社長
内藤 豊
ブラックロック・ジャパン株式会社 商品開発部長

重要事項
当資料は、2018年4月に開催された「ジャパン・リタイアメント・ラウンドテーブル」において行われたディスカッションの内容をもとに、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。当資料に掲載する内容は、当該ディスカッションに参加された方々の個人的な見解を含み、予告なしに変更することがあります。また、ブラックロック・グループの見解、あるいは、ブラックロック・グループが設定・運用するファンド等における投資判断・運用と一致するものではありません。 当資料中において、個別銘柄に言及する場合がありますが、これは当該銘柄の推奨等をするものではありません。 当資料の情報は、信頼できると判断した資料・データ等により作成されていますが、その正確性および完全性について当社が保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去のもの、または見通しであり、今後の運用成果等を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、当社はその責任を負うものではありません。さらに、当資料に記載された市況や見通しは、特に断りのない限り当資料作成日現在のものであり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。

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