サステナブル投資:不確実な環境における耐性

サステナブル投資:不確実な環境における耐性

2020年の1-3月期に市場は歴史的な急落を目の当たりにしました。ボラティリティが高まる中でサステナブル戦略は耐性を示し、投資家のサステナビリティへの選好志向が高まっています。ここで抱く大きな疑問は、なぜ、何がこの耐性をもたらしているのかという点です。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)危機により人々の健康、経済的な安定、日常生活に甚大な影響が生じ、これまでの生活の在り方をあらゆる面で見直す動きが急速に広がっています。政府や企業、そして投資家にとって、このような環境下、過去数ヵ月にわたり見られた様々な耐性(レジリエンス)の要因を解明し、将来の危機に備えてそれをいかに強化していくかが重要な課題となっています。

株式市場では、世界の多くの地域でロックダウン(都市封鎖)が 導入される前から、今回の危機の深刻さの兆候が表れていました。2月下旬の株価急落を端緒とし、1ヵ月の間にダウ平均は 10,000ドル以上(34%)も下落しました。資金需要が急増し、企業は休業を余儀なくされ、人々の外出制限により経済活動は急停止しました。こうした不安定な環境下、投資家は、ポートフォリオの耐性に寄与した特性を分析し、自身の投資に組み入れる方法を模索しています。

サステナブル投資の概念は様々な意味合いを持つため、実際にア セットオーナーやアセットマネジャーは、複数の定義、意図、動機に基づいて資産運用を行うことが多々あります。ブラックロックではサス テナブル投資をシンプルに次のように定義しています。伝統的な投資手法に環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する知見を組み入れることで、お客様の⾧期的な運用成績の向上を図ること、という定義です。ブラックロックは、サステナビリティに関する重要な課題への取り組みに優れる企業は、この観点で見劣りする企業をアウトパフォームする伸び代があると考えます。特に、サステナビリティを重視した経営方針をとる企業は、そうではない企業に比べて事業環境が悪化する難局を巧みに乗り切ると同時に、良好な市場環境下ではその恩恵を享受することができると考えます。

市場が大きく変動する中でサステナブル投資への選好が高まる

ブラックロックのサステナブル投資の責任者 Brian Deeseが年初からのサステナブル投資にみられる強いトレンドと年内の見通しについて話しています。

  • 新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、投資家にとってこれまで前提とされてきた多くのことが再考を余儀なくされています。サステナビリティについても同じことが起きています。

    何が起きているのでしょうか

    BlackRock Bottom Line

    サステナブル投資:不透明な環境における耐性

    サステナブル投資について、長い間懸念されていたことがあります。

    金融市場の下落や混乱が起きたときに、投資家はサステナブル投資から資金を引き揚げるのではないかと。

    ただ実際にこの危機で目の当たりにしたのは、当然短い期間ではあるものの明確に相反する結果となりました。注目すべきは、歴史上まれにみる急激な市場の下落が起きた期間にサステナブル資産にかつてない額の資金が流入したのです。

    それによって裏付けられたのは、投資家選好の構造的な変化は短期的な市場の動きよりも強いということです。

    サステナビリティの観点からより優れた企業やポートフォリオはおどろくべき耐性を備えていました。

    今回の危機により市場の不透明感が高まり下落圧力が強まった局面において、サステナブル関連指数の9割以上が、親指数を上回るパフォーマンスとなりました。

    (Source: BlackRock, with Q1 data from Bloomberg and Morningstar as of May 7, 2020)

    従業員、顧客、事業を展開している地域に配慮する企業は、これまで当たり前のように考えられていた前提が崩れても、より機敏に状況に適応しています。これまでよりも変化に応じて迅速に行動し、不透明な環境に耐える力が備わってきているのです。

    危機の最中、企業が従業員や他のステークホルダーとどのように関わるかによって差が見られたように、従業員の健康や安全への配慮がこれまで以上に重要になるとみています。

    従来からあるガバナンスの課題に対しこれまでよりも企業に期待が高まっているだけではなく、企業のパーパス(存在意義)、事業を展開する地域への貢献が問われています。

    国や地域に関係なく、サステナビリティをめぐる課題は、今後の投資をめぐる対話において、欠かせない争点となっていくでしょう。

    この危機の中でサステナビリティはその意義が試されています。今後は投資家が、企業の長期的成長を見極め、投資判断をする上でサステナビリティはこれまで以上に重要になるでしょう。

過去数ヵ月の市場の下落局面では、ブラックロックのこうした考えが試されることになりました。2020年1~3月期には、モーニングスターの調査によるとサステナビリティ関連指数57本のうち51本が、同じ資産カテゴリーに属する通常の指数を上回る成果を出しました。同様に、MSCIのサステナビリティ関連指数17本のうち15本が、親指数をアウトパフォームしました。この傾向は地域や指数化の手法に関わりなく観察されました2、3。短い期間の動きだけで結論付けることはできませんが、本レポートの調査によると、この結果は、2015年から2016年、および2018年にみられた相場の下落局面においてサステナブル戦略が示した耐性に通じるものがあります。さらに、これはブラックロックが2018年半ばから継続的に実施している調査の結果とも整合的です。同調査は、サステナブル戦略はリターンの犠牲を伴うものではないこと、また、サステナビリティを組み入れたポートフォリオが耐性を兼ね備えていることを検証しています

投資家にとって極めて重要な関心事は、それはなぜか、その耐性の理由はどこにあるのか、ということです。

これまでのブラックロックの調査により、耐性を示唆するクオリティや低ボラティリティといった伝統的なファクターとサステナビリティとの相関性が示されており、サステナブルな企業は他の企業に比べて下落相場に強いと考えられます5

しかしながら、伝統的なファクターのみで企業の耐性を左右するすべての特性を説明することはできません。企業のさまざまなサステナビリティ特性と、そうした特性がパフォーマンスにどのような形で寄与しているかを分析することにより、なぜサステナビリティが耐性の強化につながるのか理解を深めることができます。本レポートの調査によると、日々の生活に極めて深刻な影響を及ぼし、社会の変容を促している今回の危機では、顧客との良好な関係を⾧く維持している、あるいは確固たる企業文化を有する企業がより底堅い業績を示しています。

当初、ESGファンドが優れたパフォーマンスを示した理由として、相場の下落局面で市場全体に比べて株価の下げ幅が大きかった伝統的なエネルギー企業をこうしたファンドがアンダーウエートしていることを挙げる市場関係者もいました。しかしながら、本レポートの分析および第三者の調査6によると、伝統的なエネルギー企業のアンダーパフォーマンスは、多くのサステナブルファンドでこの期間にみられたアウトパフォーマンスにわずかに寄与しているにすぎません。

ブラックロックは、こうしたアウトパフォーマンスは、実際には従業員の満足度、顧客との強固な関係、取締役会の実効性をはじめとする、広範かつ重要なサステナビリティに関する特性を反映していると考えます。このように、市場の混乱と経済的な不確実性が高まっている現在の状況を受けて、ブラックロックは、相場の下落局面でESG特性が耐性を示すとの確信を一層強めています。

耐性の重要さを裏付けるもう一つの要素は、今回の危機下でのサステナブルな資産に対する投資家の選好です。投資家は、市場の混乱を受けてポートフォリオのリバランスを模索するなか、伝統的なファンドよりもサステナブルなファンドを一層選好するようになっています。2020年1~3月期に、世界のオープンエンド型のサステナブルファンド(ミューチュアルファンドおよびETF)に405億米ドルが新たに流入しており、その流入は前年から41%増加しました。同期間における米国のサステナブルファンドへの資金流入額は過去最高の73億米ドルに達しました7

ブラックロックは、市場の急落局面におけるこうした資金流入は、投資家のサステナビリティに対する選好の持続性を示唆していると考えます。このような資金流入は、市場の急落時には投資家がサステナビリティをあまり重視しなくなるとの、コロナ危機前に幾度となく指摘されていた懸念と相反することになります。さらにこれは、今年初めのBlackRockInvestmentInstituteの調査8にもある通り、投資家選好の変化の兆しが今回の危機により加速していることを示す、短期間の事象とはいえ重要な証左であり、サステナブルファンドの底堅いパフォーマンスに貢献している重要な要因の一つでもあります。

本レポートにおいてESG指数とその親指数(non-ESG指数)、ならびにESGを組み入れているファンドとそれ以外のファンドのパフォーマンスを比較した結果、市場の下落局面ではESGを重視したポートフォリオが非サステナブルなポートフォリオの多くをアウトパフォームしていることが明らかになりました。さらに、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)を評価・統合するブラックロックの調査フレームワークを使って、サステナビリティ関連の多岐にわたるテーマを検証し、相場の下落局面における各テーマのパフォーマンスを解析しました。その結果、顧客との関係の強さ、確立された企業文化、取締役会の実効性といったテーマで特に優れたパフォーマンスを示すことが明らかになり、今回の危機における耐性に関するさらなる知見を得ることができました。また、危機時におけるサステナブルなポートフォリオへの資産配分の増加とサステナブル資産に対する投資家選好の構造的な変化についても分析を行いました。

脚注
1出所: Bloomberg 期間は2020年2月20日~3月20日
2 https://www.morningstar.com/insights/2020/04/06/how-did-esg-indexes-fare
3 https://www.msci.com/www/blog-posts/msci-esg-indexes-during-the/01781235361
BlackRock Investment Institute,“Sustainable investing: ‘a why not’ moment”(2018年5月); Sustainability: the bond that endures(2019年11月
5 前掲
6 https://www.morningstar.com/articles/976361/sustainable-funds-weather-the-first-quarter-better-than-conventional-funds
7 この分析で用いたデータは、データプロバイダーのウェブサイト、ファンドの目論見書、プロバイダーのプレスリリース、プロバイダーの調査、Bloomberg、証券取引所、Strategic Insight Simfund、Windを含む多数の出所から取得。数値はすべて米ドルベース。資金フローは、月末時点で入手できる直近のデータに基づく日次ベースの純資産価値と発行済み株式数を用いて算出。相互上場商品については、主要上場市場の正味フローと資産を採用。データは2020331日時点。
BlackRock Investment Institute, ‘Sustainability: The tectonic shift transforming investing”(2020年2月)

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