リタイアメントに向けた資産運用の基本は、人生のフェーズに合わせて資産構成を変化させる「ライフサイクル投資」にあります。ライフサイクル投資の基本的な考え方は、資産形成期には預貯金に加えてリスクを取った投資を積極的に行い、リタイア前の時期になったら投資資産のリスクを低減させ、リタイア後に「支出」を始めるというものです。
リスクはひとつではない
ライフサイクル投資においては、さまざまなリスクを考慮する必要があります。まず、投資対象の運用成績に影響を与える市場リスクは、投資した結果どれくらいのリターンを得られるのかを見極めるうえで重要です。また、日本ではこの数十年間、インフレについて考慮する必要がなかったかもしれませんが、国が掲げる金融政策で2%のインフレターゲットをうたっていることを考えれば、インフレリスクへの備えを意識すべきかもしれません。預貯金だけではインフレによって資産が目減りする可能性があります。このほか、想像以上に長生きするリスクもあります。収入が変動することも避けられないリスクです。
これらのリスクを考慮しながら、人生のフェーズに合わせて資産構成を変化させるライフサイクル投資を実践し、老後に向けた資産形成への、有力な手段となるのが「ターゲット・デート・ファンド」です。
ターゲット・デート・ファンドとは、ターゲットとする時期(例えば退職する年)を設定し、そこに向けて時間をかけてリスク資産の比率を減少させながら分散投資を行うファンドのことをいいます。幅広い資産に分散投資し、リスクを抑えながらリターンの獲得を目指すため、インフレリスクへの備えとしても有力といえます。
ターゲット・デート・ファンドの基礎となる考え方
年齢を重ねるに伴い、個人を資産構成でたとえると、人的資本(個人が働いて稼ぎ、貯蓄する能力)から金融資本(個人の総貯蓄資産)へと変化する。
出所:ブラックロックが作成
米国では企業型確定拠出年金(企業型DC)への新規投資のうち、約85%をターゲット・デート・ファンドへの投資が占めています。ターゲット・デート・ファンドは、リタイアメントに向けた最適な投資商品の一つとして広く認識されているのです。
近年、日本でもターゲット・デート・ファンドが話題にのぼることが多くなりました。日本は先進国の中でも高齢化が著しく進んでおり、少子化を含む人口動態の変化が公的年金システムへの大きな圧力となっています。そうした背景がある中、個人が確定拠出年金(DC)制度を通じて自らの老後資金をどう作っていくか、より責任をもって判断することが求められる時代になってきていると言えるでしょう。ターゲット・デート・ファンドは今後、日本のDC制度の中でも存在感を高めていくのではないかと予想されます。
老後資金の「作り方」の鍵は、「使い方」を知ること
ライフサイクル投資においては、リタイア後の「支出」についても考える必要があります。リタイア後に悠々自適な生活を送るためには、積み上げた貯蓄や資産をどのように取崩していくのかという判断も重要だからです。
想像以上に長生きするリスクがあることを考えると、生涯にわたって安定的な支出を維持するためには、リタイア後も投資を継続すること、そして投資により得たリターンと支出のバランスを取ることが求められます。しかし、個人がこれを何のサポートも受けずに実現するのは難しい面もあります。
そこでブラックロックは、2018年4月、米国で「資産の取崩し方」をガイドする「LifePath® Spending Tool」というサービスを立ち上げました。このツールは、ブラックロックが1990年代から提供しているターゲット・デート・ファンド「LifePath®」シリーズで用いる市場や人口動態関連のデータをベースに、インフレリスクや長生きリスクを考慮した分析を行います。利用者が「年齢」と「現在の金融資産額」を入力するだけで、その年の支出可能額や20年、30年先の将来の支出額の見積もりをグラフで確認できるというものです。
支出可能額の計算
LifePath®Spending Tool 画面イメージ
出所:ブラックロックが作成
リタイア後の今年の支出額の見積もり
LifePath®Spending Tool 画面イメージ
出所:ブラックロックが作成
リタイア後の将来の支出額の見積もり
LifePath®Spending Tool 画面イメージ
出所:ブラックロックが作成
これからの金融機関には、老後資金の「作り方」だけでなく「使い方」についても有益な情報やサービスを提供していくことが求められるでしょう。ブラックロックでは、その使命に応えていきたいと考えています。
重要事項
当資料は、2018年4月に開催された「ジャパン・リタイアメント・ラウンドテーブル」において行われたディスカッションの内容をもとに、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。当資料に掲載する内容は、当該ディスカッションに参加された方々の個人的な見解を含み、予告なしに変更することがあります。また、ブラックロック・グループの見解、あるいは、ブラックロック・グループが設定・運用するファンド等における投資判断・運用と一致するものではありません。 当資料中において、個別銘柄に言及する場合がありますが、これは当該銘柄の推奨等をするものではありません。 当資料の情報は、信頼できると判断した資料・データ等により作成されていますが、その正確性および完全性について当社が保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去のもの、または見通しであり、今後の運用成果等を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、当社はその責任を負うものではありません。さらに、当資料に記載された市況や見通しは、特に断りのない限り当資料作成日現在のものであり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。
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投資信託に係るリスクについて
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手数料について
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