2020 Global Outlook
2020 Global Outlook

深いショックの中で

新型コロナウイルスショックは大規模な自然災害に似ており、短期的には活動を大きく中断させるものの、最終的には景気回復をもたらすと考えています。
資産クラスの見通しを見る 資産クラスの見通しを見る

4月のアップデート

経済活動はほぼ停止に近い状態にあります。直近に打ち出された景気刺激策は金融環境の緩和をもたらしましたが、金融政策の余地が限られていることを考えると、財政政策が協調的な対応策としてしっかりと役割を果たす必要があります。経済活動に関連するデータの記録的な落ち込みは、前例のない成長率の低下を示唆しています。また、多くの地域では、厳格な遮断措置の発動に伴い、ウイルス感染の増加率が鈍化しているようにみえます。下のグラフを参照ください。鍵となるのは、大規模な第二波が来ることなく措置を解除できるのかです。経済がどのように回復するかは、感染拡大の経過、政策対応の効果的な実施、消費者や企業の行動の潜在的な変化にかかっています。

措置が感染拡大の抑制につながっている
厳格な拡大抑制措置とウイルス拡大の軌道:2020

厳格な拡大抑制措置とウイルス拡大の軌道:2020年

出所:ブラックロック・インベストメント・インスティテュート、オックスフォード大学によるCOVID-19に対する政府対応トラッカー、ジョンズ・ホプキンス大学の2020年4月のデータを使用。データは2020年4月14日時点。
注釈。左のグラフは、各政府の対応の厳格さを把握することを目的としたオックスフォード大学のStringency Indexをマップ化したものです。この指標は、学校閉鎖、旅行禁止、公共イベントの中止などの一般に公開されている指標、財政や金融措置のような指標に基づいています。右のグラフは、それぞれの地域と国の一定の人口当たりの発症数を示しています。このデータはジョン・ホプキンス大学のグローバル・トラッカーに基づいています。

新型コロナウイルスの大流行に対抗する厳格な遮断置による経済活動の意図的な凍結は、世界的な金融危機を彷彿とさせる急激な成長ショックと市場の変動をもたらしました。しかし、2008年のような事態が繰り返されるとは考えていません。投資家は冷静さを保つこと、長期的な視点に立つこと、投資を続けることが重要だと考えています。

ブラックロックの最新の分析によると、経済成長への短期的な影響は世界金融危機(GFC)よりもはるかに大きく、世界大恐慌以来の最大の縮小となっています。しかし、政策担当者がショックがシステミックな金融圧力へと変化するのを防ぐことができた場合、長期的に蓄積する影響はGFCのほんの一部に過ぎないかもしれません。全体として、金融システムは2007年よりもはるかに良好な状態にあります。金融システムの停止が長引くほど、金融システムに亀裂が生じ、その隠れた脆弱性が露呈し、より恒久的な影響につながる可能性が高くなります。今のところ、大胆かつ広範な政策対応がこのリスクを抑制しており、政策支援の実施が鍵を握っていると考えています。

ブラックロックは、国債、クオリティファクターの銘柄、現金、サステブル投資へのベンチマーク配分を通じた、ポートフォリオの耐性を重視しています。ブラックロックは、米国や中国のような、株式とクレジットの両方で最も政策発動余地がある地域を選好し、クオリティファクターへのエクスポージャーを重視しています。株式では、クオリティファクターのウエイトが高いことや政策支援に厚みがあることから、米国市場の投資判断を引き上げました。

直近では、中央銀行による特別な措置が投資適格債やグローバルのハイ・イールド債に対する需要を支える可能性が高いとして、クレジットに対する全体的な見通しを引き上げました。不確実性の高い経済環境の中で、投資家が企業のキャッシュフローを選好することを考慮すると、全体的には株式よりもクレジットを重視しています。

新型コロナウィルス・ショックと原油価格の低迷は、新興国市場にとって特別な課題となっています。多くの新興国では、脆弱な公衆衛生システムに過度の負担がかかり、経済的なダメージが長期化するおそれがあります。

最近の暴落でバリュエーションが低下しているにもかかわらず、新興国の現地通貨建て債には慎重な姿勢を強めています。一部の新興国では、経済ショックを吸収するために通貨安を許容しており、一部の新興国ではさらなる通貨安が進行し、クーポン収入が枯渇するリスクがあるとみています。中国が徐々に経済活動を再開し、政策支援の準備を進めていることから、日本を除くアジアの株式とクレジットは引き続きオーバーウエイトとしています。

長期的には、航空や旅行、化石燃料、ヘルスケア、小売、規制産業など、いくつかのセクターが長い苦境に陥る可能性があります。感染拡大は貿易面の緊張の高まりを助長し、グローバルな製造拠点の再考を企業に促しています。このような供給ショックの組み合わせは、経済成長を圧迫し、生産コストを増加させ、利益率を圧迫し、インフレ率を押し上げる可能性があります。

2020年の投資テーマ

経済活動の停止
新型コロナウイルス・ショックは2008年にみられたものよりも急激ですが、長期的な経済成長率に累積する影響は小さいとみています。
積極的な政策対応
ブラックロックは、感染拡大を食い止める抜本的な公衆衛生対策と、その実行が政策対応として求められていると考えています。
耐性が重要
先進国国債のバリュエーションは、経済の見通しに照らしてみると割高な方向に行き過ぎているようですが、依然として分散効果があるとみています。
資産クラスの見通し
エマージング市場の現地通貨建て債券を「中立」に引き下げたのは、新興国の金融緩和が通貨下落を加速させるリスクがあるためです。
詳しく読む 詳しく読む
執筆者
Philipp Hildebrand
ブラックロック副会長
Jean Boivin
BIIヘッド
Elga Bartsch
BIIマクロリサーチヘッド
Mike Pyle
BIIチーフインベストメントストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト

重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

MKTGH0520A-1181616