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BLACKROCK INVESTMENT OUTLOOK

時間を稼ぎ抵抗力を強化する

ブラックロックは、貿易摩擦と地政学的な軋轢が世界の経済と市場を左右する主な要因として作用すると考えています。
そのため、成長見通しをさらに引き下げ、より一層ディフェンシブな投資スタンスを取ります。

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景気減速の衝撃を緩和するため、中央銀行が再び金融緩和へと大きく舵を切ると予想します。これにより、今回の景気拡大はさらに長期化する可能性があり、リスク資産を下支えするとみています。米国経済は最近ようやくその供給能力を最大限に活用した水準に達し、景気サイクルの「後期」に入りましたが、この局面は長期間続くことがたびたびあります。

景気サイクルの延長
GDPギャップと米国の景気サイクルの段階、1965~2019年

景気サイクルの延長

出所:BlackRock Investment Institute。Refinitiv Datastreamのデータを使用。2019年7月現在。
注記:上図は米国の予想GDPギャップ(潜在GDPに対する実際のGDPの比率)を示しています。各期間を景気サイクルの特定の段階に分類しています。段階の分類は、経済事象が類似した動きを示す期間をまとめる「クラスター分析」を用いて行っています。

 

バリュエーションが適正な水準であることを考慮すると、引き続き米国株式に投資妙味があると思われます。低利回りの環境ではクーポン収入が鍵となることから、新興国(EM)債券の見通しを引き上げます。ただし、市場は中国政府の景気浮揚策を過度に楽観視していると判断し、中国の影響を受けやすい新興国と日本株式の見通しを引き下げます。

欧州中央銀行(ECB)は景気刺激措置の再開を検討し、米連邦準備理事会(FRB)は景気減速に備えた保険として利下げに踏み切る意向です。ECBは景気刺激策に対する期待に応えると予想しています。そのため欧州株式のアンダーウェイトを見直し、欧州債券の見通しを引き上げます。対照的に当面の景気後退リスクは限定的とみられることから、市場はFRBの利下げを織り込み過ぎていると考えます。利回り反転の可能性を考慮し、戦術的な観点から米国債の見通しを引き下げます。

米国と中国は戦略的な競争に突入しました。これは構造的なもので、当面続くとブラックロックはみています。その余波を受け、数十年にわたってインフレ率の漸進的な低下と企業の利益率向上に寄与してきたグローバル化が後退する可能性が生じています。これが最終的に供給ショックを招き、経済成長トレンドの低下とディスインフレの終焉という結果に至るのでしょうか。これは市場が想定していないシナリオで、株式と債券はいずれもマイナス・リターンになる恐れがあります。キャッシュの水準を若干引き上げ全体的なリスクを抑制することが好ましいと考えますが、長期国債については、特に中期的にポートフォリオを安定化する手段として重要な役割を担うとみています。

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Philipp Hildebrand
ブラックロック副会長
Jean Boivin
ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)・ヘッド
Elga Bartsch
経済・金融市場リサーチヘッド
Mike Pyle
BIIチーフ・インベストメント・ストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト
保護主義への警戒

貿易摩擦と広範囲にわたる地政学的な緊張を背景にマクロ経済の不透明感が高まっていることから、世界の経済成長見通しを引き下げます。今後、経済および市場のより広い範囲に様々な結果がもたらされると思われます。米国の関税引き上げの影響を受けて中国経済は一時的に成長が減速することが見込まれます。

インプリケーション:保護主義が高まる中、キャッシュ比率をある程度引き上げるなど、リスクを抑制することが有効と考えます。

景気サイクルの拡張

中央銀行が明確にハト派的政策に舵を切ったことで長期利回りは低下し、現在の長期にわたる景気拡大がさらに長期化する可能性があります。当面はリスク資産にとって望ましい環境となりますが、見通しの不透明感は高まっています。

インプリケーション:米国株式に強気の姿勢を維持し、低利回り環境では新興国債券のインカムの可能性に投資妙味があると考えます。

抵抗力を強化

マクロ経済の不透明感が高まっている時期に、ポートフォリオの抵抗力を高めることは極めて重要と考えます。耐性とは、戦術的にディフェンシブなスタンスを取る場合でも、景気サイクル全体を通じた戦略的な面においても、ポートフォリオが様々な悪条件に耐えうる能力と定義されます。

インプリケーション:国債は、低利回りであってもポートフォリオの耐性を高める上で重要な役割を果たします。

Elga Bartsch
経済・金融市場リサーチヘッド
Mike Pyle
BIIチーフ・インベストメント・ストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト

6月12~13日にロンドンで開催されたアウトルックフォーラムにはブラックロックの投資プロフェッショナルが約100名集結し、世界経済、政策、市場の見通しについて議論しました。脱グローバル化が進む中でのインフレの見通し、米中対立の意味、中央銀行が直面する政策上の課題が今回の議論のテーマにあがりました。

低インフレの世界
米国のインフレ・ショックおよび国債と株式の相関、1965~2019年

低インフレの世界

出所:BlackRock Investment Institute、U.S. Bureau of Economic Analysis、U.S. Bureau of Labor Statistics。Haver AnalyticsとRefinitiv Datastreamのデータを使用。2019年7月時点。
注記:上図の上のグラフは、インフレ率の実績値と期待値の差を示しています。ブラックロックでは、過去3年間の期間にわたる実績米国消費者物価指数(CPI)、GDP、政策金利の関係を活用し、統計モデルを使用して1965年まで遡って期待インフレ率を推定しています。こうした回帰分析の結果を使い、各時点の3カ月後の期待インフレ率(年率)を推計しました。上図の下のグラフは米国10年債とS&P 500 Indexに関し、月次データの3年間移動相関を示しています。相関が1の場合は2つが同時に同じ方向に動くことを意味し、マイナス1の場合は、完全に逆方向に動くことを意味しています。

今や投資家にとって低インフレは当たり前の世界であり、インフレ・サプライズはほとんどが下振れサプライズです。上のグラフが示すインフレ・ショックは、1980年代以降にインフレ率が期待を下回ることが多かったことを示しています。この状況は、1970年代のオイルショックのような(成長率が低下しインフレ率が上昇した)マイナスのマクロ供給ショックがほとんどない中で生じてきました。また、期待を下回る成長率はインフレ率の低下を伴うことが多く、これは需要ショックの特徴です。

その結果、この期間には、債券が株式の下落時期にポートフォリオの緩衝材となる傾向がありました。上記のグラフは、低インフレの時期に株式と債券のリターンが負の相関になっていたことを示しています。現状、どのようなリスクがあるでしょうか。保護貿易主義と脱グローバル化は、自由貿易とグローバル化による何らかの恩恵を徐々に打ち消すとともに物価を引き上げるマイナスの供給ショックとなり、生産性の伸び率を低下させ、GDPを減少させます。そのような事態はこれまで何十年もの間投資家が心配する必要がないことでした。

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Thomas Donilon
ブラックロック・インベストメント・インスティテュート(BII)会長
Elga Bartsch
経済・金融市場リサーチヘッド
Vivek Paul
BIIシニア・ポートフォリオ・ストラテジスト
Ben Powell
BII APACチーフ・インベストメント・ストラテジスト

投資家は、足元で強力な逆流の中で課題に直面しています。マクロ経済の不透明感が上昇しており、今年に入って資産価格は大きく上昇しています。他方、金融政策は緩和方向に転換し、多数のリスク資産のバリュエーションは依然として理にかなっているようにみえます。そのため、ややディフェンシブなスタンスを取りつつ、引き続きリスク・リターンが魅力的なリスク資産を選好します。

資産一覧
資産別の見通し(米ドル・ベース)、2019年7月

資産クラス コメント
株式 米国 景気をサポートする政策ミックスや景気サイクルの長期化見通しが前向きな見通しの背景。バリュエーションはマクロの背景を考慮すると依然適切な水準にあるようにみえる。ファクターの観点からは、モメンタムやミニマム・ボラティリティを選好し、バリュエーションの高止まりを理由にクオリティには以前より慎重なスタンスをとっている。
欧州 欧州株の見通しを中立に引き上げる。欧州のリスク資産はマクロの動向を考慮するとやや割高だが、ECBのハト派シフトがそれを一部相殺するとみている。貿易をめぐる対立や中国の景気減速、政治リスクが主なリスク。
日本 日本株の見通しを中立からアンダーウエイトに引き下げる。日本株は特に中国の景気減速の影響を受けやすく、日銀は引き続き緩和的だが、さらなる政策の余地は限定的とみている。他には世界景気の減速や消費税引き上げがリスクとして挙げられる。
新興国 新興国株式をオーバーウエイトから中立に引き下げる。中国の景気刺激策に対する市場の過度な期待が背景。魅力的な投資機会は、メキシコやブラジルのような中南米の地域で、バリュエーションが魅力的でマクロ環境も安定しているとみている。FRBの緩和的なスタンスも、巨額の債務をかかえている国を中心にサポート材料になるとみている。
アジア(日本を除く) アジア株(日本除く)の見通しを中国へのエクスポージャーの高さを理由にアンダーウエイトに引き下げる。中国の景気減速や世界貿易の停滞が予想以上に悪化した場合に下振れリスクとなるとみている。同地域では、債券でリスクを取ることを選好。
債券 米国国債 米国国債を中立からアンダーウエイトに引き下げる。FRBの金融緩和に対する市場の期待は行きすぎとみており、国債のバリュエーション(特に短期債)に慎重なスタンスをとる。一方で、長期債はリスク資産が下落した際にポートフォリオを効果的に安定させる役割を提供するとみているほか、インフレ連動債を選好する。
米国社債 米国の社債は、年前半のアウトパフォームの後で2年前の水準まで利回りが低下しており中立とする。緩和的な金融政策により、このサイクルは長期化し、新規発行を抑制し、企業の慎重な行動が社債市場を下支えするかもしれない。投資適格社債は引き続きブラックロックのインカム選好のコアをなす。
欧州ソブリン債 ユーロ圏の国債をオーバーウエイトに引き上げる。ECBは市場の期待と同等かそれを上回る緩和的なスタンスを取るとみている。利回りはドルの投資家にとって、ユーロとドルの金利差のため、為替ヘッジ後で魅力的な水準となっている。ユーロ圏の投資家にとっては多くの国において利回りがマイナスの環境でインカムが鍵となるため社債が好ましいとみている。
欧州社債 ユーロ圏の社債を中立に引き上げる。ECBの低金利がより長期化するとの政策スタンスにより市場のボラティリティが低下し、インカムの源泉としての社債を下支えするとみている。ユーロ圏の銀行のバランスシートは数年の調整を経て改善し、ファンダメンタルズを下支えしよう。ただ、バリュエーションは依然割高であり、ハイイールド社債を選好する。ユーロ圏のハイイールド債も米国のハイイールドと比較するとスプレッドが大きく開いている。
新興国債券 インカム面からみて魅力があり、新興国の債券をオーバーウエイトに引き上げる。FRBのハト派シフトによって、現地通貨建ての金利が上昇し、対ドルで現地通貨の上昇をサポートしている。現地通貨建て市場はさらに上昇する余地があり、ドル建てよりも現地通貨建てを選好する。中南米など、米中貿易の緊張に直接影響を受けにくい、アジア以外に投資機会があるとみている。
アジア債券 インドや中東の一部の投資適格社債を選好し、米中貿易の緊張から直接影響を受けにくい市場に投資機会があるとみている。中国は、外資に対する市場の開放を進める中で、ポートフォリオのリバランスによって資金流入が起きる可能性がある。

注記:見通しは、2019年7月時点(米ドル建て)のものであり、市場あるいは経済状況の変化によって随時変更される可能性があります。本資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の成果の予想あるいは保証を意図したものではありません。本資料中の情報は、特定のファンド、戦略あるいは証券に関する調査あるいは投資アドバイスとして依拠すべきものではありません。

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Mike Pyle
BIIチーフ・インベストメント・ストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト

重要事項
記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを基に、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。記載内容は、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。また、米ドル建資産を中心としたグローバル投資において、主に米ドル建で各資産の評価を行った上で書かれたものです。記載内容は、日本に居住する個人投資家にはあてはまらない場合がある旨にご留意ください。日本の投資家が円から、外貨建資産に投資を行う場合に受ける為替変動の影響は考慮されていないことにご注意の上、参考情報としてご覧ください。また、日本のお客様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容は、ブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、記載内容の各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等について、ブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。また、ブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

投資リスク・手数料について
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投資信託説明書(交付目論見書)および目論見書補完書面の内容をご確認ください。

■ 投資信託の保有期間中に間接的にご負担いただく費用
信託報酬: 上限2.56824%(税抜 2.378%)程度

■ その他の費用
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。(その他の費用については、運用状況等により変動するものであり、事前に料率、上限額等を示すことができません。)
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MKTGH0419A-829134