相次ぐAI関連のメガIPO:
2026年に投資家が知っておくべきこと

Kristy Akullian, CFA

2026年6月

主なポイント

・予想される巨大IPO(新規株式公開)の増加は、AIインフラ構築に必要な資金需要を反映しています。IPOの長期的なパフォーマンスは一様ではありませんが、上場直後には株価が大きく上下に変動することも珍しくありません。

・IPOは自動的にインデックスに組み入れられるわけではありません。それぞれのインデックス・プロバイダーが、新規上場株の組み入れ、時期、組み入れ比率に関してルールを定めています。多くのインデックスでは、巨大IPOであってもインデックス内では小さな組み入れ比率にとどまる可能性が高いでしょう。これは、総時価総額ではなく、浮動株に基づいて組み入れ比率が設定されるためです。

・ETFは、投資家が保有資産の構成を把握できる、透明性の高い投資商品です。iシェアーズは、インデックス型・アクティブ型のETFを幅広く提供しており、新規上場企業への投資機会についても、どのように、またいつアクセスするかという選択肢を投資家に提供しています。

1. なぜこの局面で、これほど多くの巨大IPOが予想されているのか

巨大IPOとは、評価額が数千億米ドル、場合によっては数兆米ドル規模に達する企業の新規株式公開のことです。ここ数年は低調でしたが、2026年はIPO活動が回復し、その規模は史上最大になると予想されています。このIPO活動の急拡大は、スペースX、アンソロピック、オープンAIなど、人工知能(AI)とその構築に関連する、大規模で注目度の高い企業のIPO案件が控えていることが要因です。

テクノロジーとAIに関係する企業が現在のIPO市場を主導しており、世界のIPOによる調達額の約25~35%を占め、大規模な上場案件ではさらに大きな割合を占めています*1。図表1が示すように、2026年のIPO評価額の平均は昨年の3倍、2022年のほぼ10倍に達しています。

歴史的に見て、マクロ経済のファンダメンタルズが堅調で、株式市場のパフォーマンスが好調な時にIPO活動は活発化してきました。したがって、今回予想されるIPO活動の急増もまた、経済全体の健全性に対する投資家の信頼を反映していると考えられます。

*1 出所:ブルームバーグ、2026531日時点。2026年年初来に公表されたIPO(新規株式公開)のデータに基づく。

図表1:2026年にIPO案件の規模が拡大

2015年以降のIPOによる平均調達額の棒グラフ

出所:SEC、IPO:件数と調達額(2015年~2025年の暦年ごとのIPOによる平均調達額)。ブルームバーグ、スペースXを含む2026年年初来のIPOによる調達額のデータ。平均調達額はIPOによる調達額の合計をIPO件数で除して算出。2026年6月9日現在のデータ。

グラフの説明:2015年以降のIPOによる平均調達額の棒グラフ。


2. 過去のIPOとはどのような違いがあるか

すでに上場している「マグニフィセント7」と呼ばれる超大型株グループの場合、株式公開の規模は1980年代と1990年代には5億米ドル未満でしたが、2010年代には数十億米ドル規模になりました*2。現在、最大の非上場企業は、公開市場への上場前にさらに大きな規模に達しており、今年の非上場市場における最大評価額は1兆米ドルを超えると予想されています*3

ベンチャーキャピタル、プライベート・エクイティ、政府系ファンドがプライベート市場に資金を供給していることで、今では多くの企業がより長期間非上場にとどまり、より成熟した段階で公開市場へ上場することが多くなっています。また、上場までの期間の長期化により、企業は公開市場への上場前に、財務報告、ガバナンス、運営インフラを強化する時間をより多く確保でき、結果として上場時の案件規模の拡大につながっています。

*2 出所:ブルームバーグ、アップル、NVIDIA、マイクロソフト、アマゾン、メタ、アルファベット、テスラの新規株式公開(IPO)時の企業価値に基づく。

*3 出所:ブルームバーグ、2026年5月31日時点。スペースXのIPO時の企業価値に基づく。

3. 過去のIPOはどのようなパフォーマンスだったか

過去のIPOのパフォーマンスは一様ではありません。多くのIPOが上場当初は活発に取引されますが、短期的な株価の動きがその後の長期的な価値創造を示すとは言えません。

 

その背景には、新規上場銘柄が需給の変化に大きく影響を受けやすい点があります。インデックスへの組み入れ時期やロックアップ解除のタイミングなどもIPOごとに異なり、これらの要因が複合的に作用することで、価格発見プロセスは複雑になり、パフォーマンスが大きく左右される可能性があります。図表2が示すように、新規上場株式は特に取引開始初期において、歴史の長い上場企業よりも明らかに大きなボラティリティを示してきました。ただし、近年は大規模で成熟度の高い企業のIPOが増えているため、こうした傾向は変化する可能性もあります。

 

例えば、米国でのIPOおよび直接上場では、規模上位20件のうち13件のリターンが上場3カ月後と12カ月後の時点でマイナスでした。3カ月後と12カ月後の両方でリターンがプラスになったものは、20件中わずか6件でした。

図表2:すべての大型IPOの上場後のリターンが好調とは限りません

グラフの説明:過去10年間のIPO規模上位20社の散布図

出所:ブラックロック、ブルームバーグ。対象は、2016年から2025年までに実施された米国籍企業のIPOと直接上場のうち、上場時の株式時価総額(IPOの場合は公募評価額、直接上場の場合は参考評価額)の上位20社です。リターンは、初日の寄り付きから3カ月後と12カ月後の引けまでのリターンです。2026年6月4日現在のデータ。

グラフの説明:過去10年間のIPO規模上位20社の散布図。


4. IPOはどのようにインデックスに組み入れられるか

IPOは自動的にインデックスに組み入れられるわけではありません。新たに上場した企業がインデックスに採用される際には、それぞれのインデックス・プロバイダーの独自の組み入れルールと審査プロセスが適用されます。このようなルールは、企業が流動性、取引実績、投資可能性に関する基準を満たしていることを確認するために設けられています。

 

また、「シーズニング」期間(企業がインデックスへの組み入れ対象となる前に公開市場で取引されなければならない最低期間)に加え、以下の項目も基準に含まれる場合があります:

・財務的健全性(収益性)基準

・売買高基準

・時価総額基準

・IPO後のロックアップ

もっとも、新規公開企業のインデックスへの組み入れ方法を含め、インデックスの手法は市場とともに進化しています。IPOの規模と重要性が今後拡大すると予想される中、インデックス・プロバイダーは、組み入れの時期、規模、適格基準に関するルールを再検討しています。

5. IPOはいつインデックスに組み入れられるか

インデックスのリバランスは所定のスケジュールに従って行われますが、新規上場企業、特に大型株や超大型株として上場する企業を組み入れるタイミングについては、多くのインデックスが例外規定を設けています。

今年の巨大IPOが公開市場に与える影響の可能性を踏まえ、一部のインデックス・プロバイダーは組み入れ枠組みを積極的に見直しており、「ファスト・エントリー」(早期組み入れ)制度の導入や拡大を進めています。これにより、一部の大規模で流動性の高い企業が上場後に迅速にインデックスに組み入れられる可能性があります。これに類似した仕組みはすでに存在しますが、インデックス・プロバイダーは、規模や市場への影響が大きいIPOに対応するために見直しを進めており、市場の現状の迅速な反映と流動性や投資可能性とのバランスを取ることを目指しています。

インデックス組み入れ基準

インデックス組み入れ基準

出所:インデックス・プロバイダー(S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス、MSCI、FTSEラッセル、ナスダック)、2026年6月5日現在。

** シーズニング期間は、対象銘柄の早期組み入れスケジュールを反映しています。早期組み入れについては、下記のIPOに関するよくある質問をご参照ください。


6. 巨大IPOは一般的なベンチマークで高い組み入れ比率を占めるのか

ほとんどのインデックスは、浮動株調整後時価総額を用いて算出されています。これは、インデックスの構成比を決定する際、公開市場で取引可能な株式数のみが考慮され、内部関係者が保有する株式や制限付きで保有されている株式の数を除外することを意味します。そのため、評価額が大きい新規上場企業でも、実際のインデックス構成比は低水準になることがよくあります。

例えば評価額が2兆米ドル、IPO時の浮動株の総額が500億米ドルの企業を考えると、現在のインデックス構成ではラッセル1000インデックスの組み入れ比率はわずか0.08%にとどまります*4

 

*4出所:FTSE Russellの現行指数算出ルールに基づく2026年6月5日時点。

7. IPOはiシェアーズETFにどのような影響を与えるか

IPOへのエクスポージャーは、ファンドの運用スタイル、ベンチマークとしているインデックスのプロバイダー、ファンドの投資先セクター、スタイル、ファクターなどによって、iシェアーズETFごとに異なります。

 

インデックス型ETFは、インデックス・プロバイダーが事前に定めたルールと手法に従いますが、アクティブ型ETFは、ファンド・マネージャーの裁量により特定のIPOへのエクスポージャーを追加することも、あえて回避することもできます。アクティブ型であれば、場合によっては株式が市場で取引される前の非上場段階で投資できることもあります。

 

ブラックロックは、投資家が自身の保有資産の内容を理解することが極めて重要だと考えています。iシェアーズETFは透明性が高い投資商品であり、日々保有銘柄を開示しているため、投資家はポートフォリオのエクスポージャーを詳細にモニターし、新規上場企業への投資状況を継続的に確認することができます。

 

さらに重要なのは、投資家の選択肢が確保されている点です。iシェアーズETFは幅広いラインナップを通じて、新たな投資機会に迅速にアクセスすることも、新規上場企業が公開市場で実績を積むのを見極めながら慎重に投資することも可能にしています。投資家はETF検索ツールを活用することで、ファンドの組み入れ比率を比較し、自身の投資目的に最も合致するETFを選択できます。

ファンドについて

 

将来の巨大IPOへのエクスポージャーを望む場合、どのようなファンドを検討すべきか

一部のアクティブ型ETFでは、企業のIPO前の株式への投資が可能なことがあります。iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF (408A)は、AIの成長とテクノロジー革命の可能性に対して、的を絞ったアクティブ運用によるエクスポージャーを提供しており、アンソロピックやオープンAIへの未公開株投資を含んでいます*5

 

新規公開企業のインデックスへの組み入れは、通常はシーズニング期間や浮動株調整といった手法を反映して段階的に行われます。一方で、セクター、テーマに特化したETFは、総合市場インデックスに連動するETFと比較して、一部の巨大IPOに対して高い組み入れ比率を持つ可能性があります。ラッセル、MSCI、ナスダックなどの一部の指数会社は、ファスト・トラックによる組み入れの仕組みを導入しており、これらの指数に連動するiシェアーズのスタイルボックス、ファクター、セクターETFでは、新規上場企業へのエクスポージャーを早期に取得できる場合があります。

 

*5 2026年6月2日時点で、「iシェアーズ AI グローバル・イノベーション アクティブ ETF 」の投資先であるiShares A.I. Innovation and Tech Active ETFにおける組入比率は、オープンAIが0.29%、アンソロピックが0.67%でした。組入比率は今後変更される場合があります。

本資料に記載されている個別企業・発行体は、情報提供および教育目的でのみ掲載しており、特定の有価証券の購入または売却を推奨するものではありません。また、記載された企業がブラックロックの運用する商品における現在または将来の組入銘柄であることを示すものではありません。実際の組入銘柄については、各ファンドの商品ページをご確認ください。

巨大IPOへのエクスポージャーを制限したい場合、どのようなファンドを検討すべきか

ポートフォリオ内での巨大IPOへのエクスポージャーを制限したい場合には、時価総額特性の異なるエクスポージャーを提供するiシェアーズのインデックスETFが選択肢となります。小型株戦略、バリュー株戦略、銘柄ごとの時価総額に上限を設けた戦略などは、超大型銘柄への集中を抑える可能性があり、投資家は自身のポートフォリオ目標や、新規上場企業への望ましいエクスポージャー水準に応じたアプローチを選択できます。さらに、S&Pなどは、収益性スクリーニング基準を取り入れる一方、ファスト・トラックによる組み入れを採用していません。このようなインデックスに連動する商品は、巨大IPOに対する初期段階でのエクスポージャーを抑制する手段となり得ます。

フォーカス

投資家が知っておくべき6つのIPO用語

ファスト・エントリー:次回の定期的なリバランスや構成見直しを待たずに適格なIPOを早期にインデックスに組み入れることを可能にするルール・ベースの仕組み。

浮動株:創業者、内部関係者、政府、戦略的投資家、その他の支配株主が保有する制限付き株式を除いて公開市場での取引に供される株式の割合または株数。

インデックス組み入れ比率:1社がインデックスに占める割合。

ロックアップ期間:これは、株式の売却ができないIPO直後の一定の期間を意味します。その影響で、特定の時点で市場に流通する株式数が限られる場合があります。

シーズニング期間:インデックス組み入れの特定の手法において新規上場企業の株式が組み入れ適格となるために必要とされる最低限の取引実績期間。

総時価総額:企業のすべての発行済み株式の総価値であり、株価に発行済み株式総数(公開市場で取引可能かどうかを問わない)を乗じて算出されます。

IPOに関するよくある質問

IPO(新規株式公開)とは、非上場企業が初めて一般投資家に株式を売り出して上場企業となることを指します。

通常、直ちには組み入れられません。多くの場合、IPO銘柄はインデックス組み入れ要件を満たすために一定期間取引が行われる必要があるため、数週間から数カ月を要することがあります。

適格有価証券を、定期的に予定されているリバランスや構成見直し前にインデックスに組み入れることを可能にする手法です。「ファスト・エントリー」と同じ意味で使用されることもありますが、具体的なルールはインデックス・プロバイダーによって異なります。

公開市場で自由に売買できるとみなされる株式のみを反映するように総時価総額を調整したものです。主要な株価インデックスの多くは、総時価総額ではなく、浮動株調整後時価総額を採用しています。

インデックス・プロバイダーが、手法の変更案について、採用の可否を決定する前に市場参加者に対しフィードバックを要請する公式のプロセスです。

インデックス組み入れの包括的な見直しを指し、インデックス構成銘柄の追加、削除、その他の変更が行われる場合があります。

投資家が有価証券を大規模かつ効率的に購入、保有、取引できる程度を指します。投資可能性の評価には、一般的に流動性、浮動株、市場アクセスの容易性、取引コストなどが含まれます。

企業の時価総額で、インデックス・プロバイダーが要求する浮動株調整やその他の投資可能性基準を適用後のものを指します。

時価総額が極めて大きい企業を指します。定義はプロバイダーや手法によって異なりますが、一般的には市場で最大規模の上場企業を指します。

 

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