経済活動再開の先を見据えて
2021 MIDYEAR GLOBAL OUTLOOK

経済活動再開の先を見据えて

経済活動の再開が現実となり、その範囲が拡大していることから、リスク選好姿勢を維持します。より重要な問題は今後どうなるかです。世界金融危機(GFC)以降に実施された対策は今後は十分な効果が見込めず、インフレ上昇のレジームの展開が鍵を握るとブラックロックは考えています。

投資テーマ

01

ニューノミナル

力強い経済活動の再開が広がり、欧州をはじめとする主要国は米国に追いつきつつあります。 中期的にインフレ率は上昇するものの、それに対する金融政策はこれまでに比べて控えめになると予想します。
戦術へのインプリケーション:欧州株式と物価連動国債をオーバーウェイトとし、米国株式の見通しを中立に引き下げます。

02

一線を画す中国

中国は経済成長率が鈍化し始める中で、比較的引き締めの政策スタンスを取っています。支配的企業に対する規制当局の監視が続いています。これは成長の質の改善を目指す中国の取り組みの重要な側面とみられます。
戦術へのインプリケーション:中国を新興国から切り離し、中国株式の見通しを中立とし、中国債券をオーバーウェイトとします。

03

ネットゼロへの道のり

炭素排出ネットゼロに至るロードマップは描かれておらず、市場はやがて到来する大きな変化を過小評価しているとみられます。その行程が平坦な道のりとなる可能性は低く、それが幅広い分野に投資機会を創出するとみています。
戦術へのインプリケーション:グリーン経済への移行を活かす有利な位置づけにあると考え、テクノロジー・セクターをオーバーウェイトとします。

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重要な局面

 経済活動の再開が現実のものになり、その範囲が拡大していることから、ブラックロックはリスク選好姿勢を維持します。より重要な問題は今後どうなるかです。現在は、1980年代の新自由主義的な政策への移行に匹敵するほど重要な局面にあると思われます。世界金融危機(GFC)以降に実施された対策は今後は十分な効果が見込めないとブラックロックはみています。パンデミックの混乱を乗り切るために講じられた歴史的な金融政策と財政政策の連携が、インフレ率の上昇を招く可能性があるためです。つまり、10年にも及んだ株式と債券の強気市場の再来は見込めないということです。

経済再開は従来の景気回復とは異なります。いわば、スイッチは一度しか入れることができません。パンデミックを乗り越えるために財政刺激策と金融緩和策が講じられました。ブラックロックの推計によると、米国では新型コロナウイルスによるショックはGFCの4分の1以下の規模でしたが、講じられた財政刺激策はGFCの4倍以上の規模に達しています。その結果、マクロ経済に様々な影響が予想されます。

インフレ高進のレジーム

新たな政策のパラダイムでは、多くの国・地域の中央銀行が過去の失敗を埋め合わせるため、インフレ目標を上回る水準までインフレ率を上昇させようとしています。下記の図をご覧ください。グレーの網がかった部分は、過去のインフレの不足分を米連邦準備理事会(FRB)が埋め合わせるために許容するインフレ率を示唆しています。公的債務と財政赤字に対する従来よりも寛容な姿勢は、40年にも及ぶインフレ率と金利の低下を招いた、新自由主義的な政策からの大きな転換となります。しかし市場は中央銀行のこうした意図をまだ信じておらず、FRBの新しい政策の枠組みが示唆する以上に急速な金利の上昇を織り込んでいます。こうしたミスマッチやその結果生じる不透明感はボラティリティ上昇の要因となる可能性があります。

金融政策はこれまでと比較し控えめとなるため、中期的にインフレ率は上昇すると予想します。政策による利上げではなく、インフレが債券利回りの上昇を牽引する要因となる特異な環境が生じるとみています。株式にとって強気の見通しとなるこうした環境を、ブラックロックはニューノミナルと呼んでいます。

インフレゾーン到達のためだけに

FRBの平均予想インフレ率とインフレ率の平均補足分、2015~2023年

FRBの平均予想インフレ率とインフレ率の平均補足分、2015~2023年

出所:BlackRock Investment Institute。米商務省経済分析局および米連邦準備理事会のデータを使用。2021年6月時点。

注記:グラフは、FRBの2%のインフレ目標の過去の未達量を補うために2年間と設定したFRBの政策ホライズン中に平均的に必要と思われる将来のPCEインフレ率の範囲を示すものです。未達成分は、過去2年と5年の間の実際の平均コアPCEインフレ率から算出されています。赤色と黄色の線は、FRBの四半期ごとの経済見通しで示された、年間コア個人消費支出インフレ率の予想(2021年10-12月期、2022年10-12月期、2023年10-12月期)の平均を表しています。

ややリスク選好のスタンスを継続

ブラックロックはややリスク選好のスタンスを維持し、市場に混乱が生じた際には、リスクを引き上げる投資機会を追求します。インフレ調整後の債券の実質利回りがマイナスであることは株式にとってプラス材料と考えます。経済活動再開の広がりから恩恵を受ける景気敏感銘柄や地域に投資機会があるとみています。欧州株式を強気、日本株式の見通しを中立にそれぞれ引き上げる一方で、米国株式を中立に引き下げます。金利は低水準にとどまったとしても、上昇傾向にあり、先進国国債を引き続きアンダーウェイトとします。

ブラックロックは今回初めて中国資産を新興国と分離して、戦術的な配分を行いました。中国政府の成長の質を重視する姿勢は成果を上げると思われます。戦術的に中国株式の見通しは中立を維持しますが、戦略的には大幅なオーバーウェイトとします。

 炭素排出ネットゼロへの行程には出発点があり、目指す目的地がありますが、そこに到達するまでの明確なロードマップはまだ描かれていません。近々予想される変化の中には急激な変化もあり、コモディティの需給の混乱を悪化させる可能性があります。その過程で投資機会が生じ、プライベート市場でのファイナンスが重要な役割を果たすとみています。

リスク選好を継続

各国で経済再開が進み、世界の中央銀行が金融政策の緩和的スタンスを維持すると決定したことで、ブラックロックは緩やかなリスク選好姿勢を継続します。ブラックロックは戦略的にも戦術的にもクレジットや国債より株式を選好します。

市場見通し

幅広い資産クラスに関する戦略的(長期)ならびに戦術的(6~12カ月)見通し:2021年7月  

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注記:上記の見通しは米ドルベースです。2021年7月時点。当資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の出来事の予想または将来の成果の保証を意図したものではありません。読者は当資料中の情報を、特定のファンド、戦略あるいは証券に関するリサーチまたは投資アドバイスとして依拠すべきではありません。

以下の「各資産の見通し(米ドル建て)」は、米国の投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。当該見通しは米ドル建て投資家による各資産の見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

各資産の戦術的見通し

各資産クラスの6~12カ月の戦術的見通しと確信の度合いに基づく世界の資産クラス全体に対する見方:2021年7月

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過去のパフォーマンスは現在または将来の成果を示唆する信頼できる指標ではありません。指数に直接投資することはできません。注記:当資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の成果の予想あるいは保証を意図したものではありません。当資料中の情報は、特定のファンド、戦略あるいは証券に関する投資アドバイスとして依拠すべきものではありません。

想定される様々な帰結

世界金融危機(GFC)後の回復と比較すると、現在は大きく異なる状況にあると考えます。前例のない大規模な財政刺激策と革新的な金融政策という政策の変革により、GFC後のような10年にわたる株式と債券の強気市場が再来する可能性は小さいでしょう。ブラックロックはニューノミナルを基本シナリオとみています。

グラフは、現在の仮想のマクロ経済および政策の結果をGFC後の低迷する結果と比較したものです。上記は2021年7月時点における株式と国債への影響に関するブラックロックの見通しを示しています。

出所:BlackRock Investment Institute、2021年7月。注記:グラフは、現在の仮想のマクロ経済および政策の結果をGFC後の低迷する結果と比較したものです。上記は2021年7月時点における株式と国債への影響に関するブラックロックの見通しを示しています。上記は例示のみを目的としています。上記の予想が実現することを保証するものではありません。

ネットゼロへの道

炭素排出ネットゼロへの行程には出発点があり、目指す目的地がありますが、そこに到達するまでの明確なロードマップはまだ描かれていません。近々予想される変化の中には急激な変化もあり、コモディティの需給の混乱を悪化させる可能性があります。その過程で投資機会が生じ、プライベート市場でのファイナンスが重要な役割を果たすとみています。

グラフは、2000年初頭を100として指数化したロンドン金属取引所(LME)の銅と北海ブレント原油のスポット価格を示しています。

出所:BlackRock Investment Institute。Refinitiv Datastreamのデータを使用。2021年7月時点。注記:グラフは、2000年初頭を100として指数化したロンドン金属取引所(LME)の銅と北海ブレント原油のスポット価格を示しています。

執筆者
Philipp Hildebrand
ブラックロック副会長
Jean Boivin
BII ヘッド
Wei Li
BII グローバルチーフ投資ストラテジスト
Elga Bartsch
BII マクロリサーチヘッド
Vivek Paul
BII シニア ポートフォリオ ストラテジスト
Scott Thiel
BII チーフ債券ストラテジスト

 

重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

MKTGH0721A/S-1739487