マクロ経済ファクター:分散投資の重要な要素

資産クラスの9割以上のリターンが、6つのマクロ経済ファクターによって説明可能です。

マクロ経済ファクター

様々な資産は異なる特性を持つようにみえて、実はそのリターンを左右する共通の要因(ファクター)があります。
本動画では、主要な6つのマクロ経済ファクターについて解説しています。

金融市場の先行きが不透明な現在、投資は困難を極めています。そのため、投資家は不測の事態に備えて株式や債券など、様々な資産クラスにポートフォリオを分散しています。

しかし、たとえ幅広く分散されたポートフォリオであっても、重大なリスクにさらされる恐れがあります。従来のバランスの取れた株式/債券を60/40で組み合わせた戦略のパフォーマンスは、歴史的に株式市場との相関が高いためです。問題は、表面上関係がなさそうな資産の集まりも、インフレ、中央銀行の政策変更、世界的な景気の減速など、共通のリスクにさらされる可能性があることです。その結果、投資家が必要とする分散の実現は、非常に困難となることもあります。

注目すべきは、ファクター投資により、投資家がより効果的な分散を実現し、運用目標を達成できる可能性がある点です。ファクター投資では、持続性が高く幅広い資産に共通するものとして、長年認識されているリターンの源泉を特定し、それらに正確に狙いを定めます。今日のデータとテクノロジーの進化により、ファクター投資はさらに高度になり、投資家が保有資産についてこれまでよりも情報を得られるようになったことで、ポートフォリオのリターンの源泉をよりバランスの取れた状態にすることができます。

主要なリターンの源泉

ブラックロックの研究では、全資産クラスのリターンの9割以上が主に6つのリターンの源泉で説明できます。経済成長、実質金利、インフレは、資産クラスのリターンの源泉で最も重要です。クレジット、新興国、流動性もこれに加えて注視すべきファクターであり、とりわけ危機の際に重要です。長期的には、これらの源泉が、投資家が負うリスクの見返りとしてプラスのリターンをもたらすことがブラックロックの研究でわかっています。

Icon: Economic growth

経済成長

経済の不確実性のリスクを取る見返り

注目点:世界経済は全体的にどのような状態にあるか。
経済的根拠:景気に敏感な資産は、景気の拡大により力強いリターンを生み、世界経済の低迷により打撃を受けます。投資家は、景気悪化のリスクを取ることに対する長期的なプレミアム(対価)を得ることができます。
測定の仕方:GDPのサプライズ(市場予想と実績との差)
対象資産:株式、不動産、コモディティ

Icon: Real rates

実質金利

金利変動のリスクを取る見返り

注目点:現在の中央銀行の政策がどうなっているか。
経済的根拠:金利の上昇は、将来的なキャッシュフローの現在価値、とりわけ固定利付き債の市場価値を減少させます。投資家は、金利上昇のリスクを取ることに対する長期的なプレミアムを得ることができます。金利に敏感な資産は、金利が低下すると好調になり、金利が上昇すると損失を被る傾向にあります。
対象資産:インフレ連動債

Icon: Inflation

インフレ

インフレ率の変動リスクを取る見返り

注目点:期待インフレ率はどの程度か。
経済的根拠:物価水準が上昇した際に価値が調整されない資産は、インフレ率の動きに敏感です。たとえば、5%の固定クーポンは、物価が上昇しても利率が変わらないため、魅力が低下します。期待インフレ率が高まると、インフレに敏感な資産の価値は下がります。
対象資産:名目債

Icon: Credit

クレジット

デフォルト(企業の債務不履行)・リスクを取る見返り

注目点:期待デフォルト率はどの程度か。
経済的根拠:投資家は、(政府ではなく)企業に貸し付けを行い、発行元のデフォルト・リスクを負うことでプレミアムを得ることができます。クレジットによるプレミアムは、世界経済の堅調さと資本コストにも関連がある一方、成長に敏感な資産と比較すると下振れリスクが大きくアップサイドが少ない性質があります。
対象資産:社債、ハイイールド債

Icon: Emerging markets

新興国

政治リスクやソブリン・リスクを取る見返り

注目点:新興国の現在の地政学的情勢はどうなっているか。
経済的根拠:投資家は、発展途上の、より情勢が不安定な市場に投資することに伴う追加のリスクを負うことでプレミアムを得ることができます。これには政治的混乱、通貨の切り下げ、外国資産の差し押さえのリスクなどが含まれます。新興国の証券は本質的により不安定で、市場のセンチメントが変わると急に売却されることがあるため、リスク管理には、新興国への投資の適切な配分の決定が重要となります。
対象資産:新興国株式、新興国債券

Icon: Liquidity

流動性

流動性の低い資産を保有する見返り

注目点:流動性に対する世界の需要はどの程度か。
経済的根拠:流動性の低い証券を保有する投資家は、特定の環境で証券を即座に売却できない可能性があるというリスクを受け入れることになります。それにより投資家は現金化の困難さと遅延のリスクを負うことに対するプレミアムを得ることができます。
対象資産:小型株

各資産クラスにどのファクターが存在するか

個々の資産クラスには、複数のファクターが影響を及ぼすことがあります。たとえば、

  • 国債は、インフレのリスクと金利上昇のリスクを負うことで、プレミアムを得ます。
  • 社債は、金利とインフレのリスクに加え、クレジット・リスクを負うことで期待リターンが上乗せされます(プレミアム)。
  • 株式は、経済成長へのエクスポージャーが主な要因となりますが、インフレと金利のエクスポージャーからも小さなプレミアムを得ます。
  • 小型株は、通常は流動性が低く取引コストが高いため、さらなる流動性プレミアムを得ることができます。

資産クラスは異なってもリスクは共通

資産クラスは異なってもリスクは共通

どのファクターが有効か

今の市場に対峙するには、これらのマクロ・ファクターをバランスよく織り交ぜる必要があります。ほとんどの投資家のポートフォリオでは、経済成長のファクターが多く含まれています。そのため、世界経済が成長することで長期的に魅力的なリターンを得られる可能性があります。一方、実質金利へのエクスポージャーは、株式市場の大幅な下落の影響を和らげるクッションの役割を果たします。インフレ、クレジット、新興国、流動性へのエクスポージャーは、潜在的なリターンや分散を強化する源泉をもたらします。

ファクターに基づく視点では、投資構造の分析によってリターン源泉に注目します。そうすることで、理解しにくい要素を分かりやすいファクター・エクスポージャーとして明らかにすることができます。さらに、ファクター投資は、ポートフォリオ内に重複して存在しているリスクも顕在化させることができるのです。

ファクターを使って
ポートフォリオを構築する

マクロ・ファクターは、リスクとその見返りであるリターンの双方において計画的で分散された投資戦略を構築する手段を提供します。たとえば、マクロ経済ファクターの均等加重による組み合わせは、単純でありながら、分散によるメリットを実現する手段の一つです。

それぞれ異なる運用目標を持つ投資家は、これらのファクターへの投資比率をカスタマイズすることで、特別な要件に合ったポートフォリオを作成できます。市況に合わせて配分が決まることもあります。ボラティリティが高まり、リターンが低下すると、多くの投資家はさまざまな市況に適応できる柔軟な配分を求めるからです。

これらのマクロ経済のリターン源泉に注目することで、最も重要なファンダメンタルズにポートフォリオの重点を置き、避けることのできない市場のボラティリティに対応した分散が可能になります。ポートフォリオのリスクとリターンへの理解が深まることで、強固なポートフォリオを構築することができ、望ましい投資成果を達成しやすくなります。

ファクターへの投資手段

ブラックロックはファクターの運用戦略を提供しています。投資信託を通じて、ブラックロックのアクティブ運用の知見を集約した高度なファクター運用戦略へのアクセスが可能です。