ラリー・フィンク 2022 letter to CEOs:

資本主義の力

A photo of Larry Fink, BlackRock’s Chairman and CEO

毎年私は、私どものお客様に代わって投資先企業の皆様に書簡をお送りすることを最も重視しています。弊社のお客様の多くは退職後の生活に備えるべく投資を行っており、その期間は数十年に及ぶこともあります。

弊社がお手伝いするお客様の経済的安定は、一朝一夕に達成できるものではありません。これは長きにわたる取り組みであり、弊社は長期的なアプローチをとっています。私が過去10年間、弊社のお客様の投資先企業のCEOや会長の任にある貴殿に書簡をお送りしているのもそのためです。私は、弊社を信頼して資産の運用を委ねてくださるお客様の受託者として、お客様の目標達成を支えるため、持続的に長期にわたってリターンを確保する上で重要と考えるテーマを書簡において取り上げています。

34年前、私が他のパートナーとともにブラックロックを創業した際には、私には会社経営の経験がありませんでした。そして、この30年余り、私は数えきれないほどの経営者の方々にお会いする中で、何をもって企業が真に偉大たりえるのかを学ぶ機会を得ました。共通しているのは、明確なパーパスと確固たる価値観を持っていること、さらに重要なのは、主要なステークホルダーと対話し、彼らのために業務を遂行する重責を認識されていることです。これがまさにステークホルダー資本主義の基盤です。

「ステークホルダー資本主義」は、政治の問題ではありません。社会的あるいはイデオロギー的な問題でもありません。社会問題を喚起するようないわゆる「Woke」でもありません。これは、貴殿と、貴社の繁栄の基盤となる従業員、顧客、取引先、そして地域社会が相互に利益をもたらす関係を築くことによって実現する資本主義です。これが資本主義の力です。

グローバルで相互につながる現代社会において、株主に長期的な価値をもたらすには、企業はすべてのステークホルダーのために価値を創造し、またすべてのステークホルダーからその価値を認められなければなりません。ステークホルダー資本主義が有効に機能することで、資本が効率的に配分され、企業は持続的に収益力を確保し、長期的に価値を創造し続けることができます。ただし、誤解なきよう申し上げますが、市場の活性化を促すのは利益の公正な追求であり、最終的に市場が貴社の成功を判断する尺度は、長期的な収益性であることは変わりません。

資本主義の基盤にあるのは、絶え間なく新しいものを創り、変革していくプロセスであり、企業は、自身を取り巻く環境の変化や新たな競争相手に取って代わられるリスクに対応して常に進化し続けなければなりません。パンデミックにより、実質的にあらゆる企業を取り巻く事業環境の変化が急加速しました。人々の働き方や消費者の購買方法に変化が生じています。新たなビジネスが生まれ、また立ち行かなくなるビジネスもあります。特に目を引くのは、テクノロジーが暮らしや仕事にもたらす変化が劇的に加速していることです。こうした環境に適応しようとする革新的な企業は、そのビジョンの実現に必要な資本に、かつてないほど容易にアクセスできるようになっています。さらに、企業と従業員、そして社会との関係が再定義されつつあります。

新型コロナウイルスはまた、従来の制度に対する信頼の劣化に拍車をかけ、西側社会の多くで二極化を増幅させました。この二極化は、企業経営者に幾多の新たな課題を示しています。政治活動家あるいはメディアが、企業の行動を政治問題化する可能性があります。彼ら自身が問題意識を持っているテーマの進展を図るために、貴社のブランドが利用されてしまう可能性もあります。こうした環境では、事実そのものがしばしば論争の的となりますが、企業は主導的な役割を果たすことができます。従業員は、政府、メディア、NGOなどより雇用主を、最も信頼でき、影響力ある倫理的な情報源としてこれまで以上に頼るようになっているためです。

貴殿の声がかつてないほど重要になっているのもこのためです。企業経営者が一貫した主張、明確なパーパス、理路整然とした戦略、長期的な視点を持つことが今ほど求められている時はないでしょう。貴社のパーパスは、この波乱の時代に進むべき方向を示す羅針盤のような存在となるでしょう。株主に利益をもたらす上で貴社が拠り所とするステークホルダーは、貴殿から直接話を聞き、深くかかわり、心を動かされなければなりません。ステークホルダーは、現下の個々の課題について、経営者としての貴殿や私の見解を聞きたい訳ではないかもしれませんが、企業の長期的な成功にとって重要な意味を持つ社会的課題についての立ち位置を明確に知る必要があります。

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パーパスをステークホルダーとの関係の基盤と位置付けることが、長期的な成功の鍵となるでしょう。

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パーパスをステークホルダーとの関係の基盤と位置付けることが、長期的な成功の鍵となるでしょう。従業員には、パーパスを理解し自身と結びつけてもらう必要があります。そうすれば、従業員は貴社の最も信頼すべき擁護者となりえます。顧客は以前にも増して価値観を共有する企業との取引を志向するようになっており、貴殿にとって価値があると信じるものは何かを知りたいと考えています。また株主は、貴社のビジョンとミッションの根底にある基本的な行動原則を理解する必要があります。貴社の戦略とその背景にあるものを株主が明確に理解していれば、貴社が困難に直面した局面で支えとなってくれるでしょう。

仕事を取り巻く新たな世界

雇用主と従業員との関係ほど、パンデミックによって大きく変化したものはありません。米国や英国の離職率は過去最高水準にあります。また米国では、賃金上昇率が数十年来で最高水準を記録しています。労働者が新たな就業の機会を得ることは歓迎すべきことであり、経済成長への確信を示すものです。

すべての地域やセクターにおいて離職率と賃金の上昇が顕著になっているわけではありませんが、世界的にみて、従業員は雇用主に対し一段と高い柔軟性や仕事そのものの意義など、より多くを求めるようになっています。企業がパンデミックを脱し立て直しを図る過程で、経営者はかつて慣れ親しんだものとまったく異なるパラダイムに対峙しています。企業は、従業員が週5日オフィスに出社して仕事をするものと考えていました。メンタルヘルスが職場で話題に上ることは稀でした。そして低・中所得者の賃金はほとんど上昇しませんでした。

そうした世界は過去のものとなりました。

従業員がより多くのことを雇用者に求めることは、資本主義が効果を発揮する本質的な特徴の一つです。それが繁栄を促進し、優れた人材の獲得競争を生み、企業が従業員にとってより良い、イノベーティブな環境を整えることを強く促します。こうした行動は、株主により大きな利益をもたらすことにつながります。これを達成する企業は、その果実を受けることになります。ブラックロックの分析によると、従業員との間に強い絆を築いている企業は離職率が低く、パンデミックの期間により良好なリターンを示す傾向が見られました1

一方で、この新たな現実に適応せず、従業員と向き合うことを避ける企業は、リスクを負うことになります。離職率が高いとコストが押し上げられ、生産性は低下し、企業文化と組織としての知見が損なわれます。経営者は、人材獲得競争で有利となるような環境が創れているかを自問する必要があります。ブラックロックも同様です。この働き方をめぐる新たな世界において舵取りするために、従業員と力を合わせています。

こうした環境を創り出すことはかつてないほど複雑で、賃金や柔軟な勤務形態といった枠をはるかに超えています。仕事をする物理的な場所についての前提条件が大きく崩れたことに加えて、パンデミックは人種的平等、育児、メンタルヘルスといった問題に光をあて、また職場に対する期待には世代間でギャップがあることも明らかになりました。こうしたテーマは今や経営者にとって最も重要な事項となっており、自身の声をどのように活用するのか、また従業員にとって重要な社会的課題といかに結びつけるべきかを入念に考えなければなりません。謙虚な姿勢で、パーパスを見据えて地に足をつけて進めば、従業員との長期にわたる持続的な絆を構築することができます。

ブラックロックは、こうした傾向が貴社と、貴社の属する業界にどのような影響を及ぼしているかを理解したいと考えています。貴社は従業員との絆を深めるためにどのような対策を講じているのでしょうか。いかなるバックグラウンドを持つ従業員も心から安心してその創造力、革新性、生産性を最大限に発揮できるようにするために、どのような対策を講じているのでしょうか。またこうした重要な問題を取締役会が適切に監督できているのでしょうか。働き方は元のようには戻らないでしょう。貴社の企業文化はこの新しい世界に適切に適応できているでしょうか。

1 Kushel R.、Van Nostrand E.、Weinberg C.、Paul V.、Tran Q.、Kazdin J.、Schwaiger K.、Basu D.、Segafredo L.、Dieterich C.、「サステナビリティの知見を活用したアウトパフォーマンスの追求」(P8)、BlackRock、2021年10月

市場の創造的破壊に拍車をかける、新たな資金の源泉

過去40年間、資本の供給量が爆発的に増加したのを私たちは目の当たりにしています。世界の金融資産の残高は現在、総額400兆米ドルに達します2。この飛躍的な増加は、投資家、企業の双方にリスクと機会をもたらしており、もはや銀行のみが資金調達のゲートキーパーではなくなっています。

創業から日が浅い革新的な企業が、現在ほど容易に資本にアクセスできたことはありません。新しいアイデアを実現するために必要な資金が現在ほど潤沢であったこともないでしょう。これが、イノベーションを生むダイナミックな環境を促進しています。その結果、実質的にほぼすべてのセクターで、市場のリーダーを凌駕しようとする破壊的なスタートアップが数多く誕生しています。既存の大手企業の経営者は、規模が小さく俊敏に行動する事業会社に対峙する中でも競争力を維持しようとするにあたり、このような新しい事業環境ならびに利用可能な資本の多様性について理解する必要があります。

ブラックロックは、お客様が投資している企業が進化と成長を継続し、今後数十年にわたって魅力的なリターンを生み出してほしいと考えており、長期投資家として、その実現のためにはあらゆる業種の企業と協働したいと考えています。ただ私ども自身も機敏でなければならず、スタートアップ企業であれ既存の大手企業であれ、今後成功する可能性が最も高いダイナミックな企業に投資し、お客様の資産をお客様の目標に沿った形で運用する必要があります。これが、資本主義者であり、受託者である弊社の責任です。

私は、資本主義の力が、人々がより良い未来を築くことを後押しし、イノベーションを牽引し、強靭な経済を構築し、私たちが直面する極めて厄介な課題のいくつかを解決することができると信じています。資本市場が、企業や国に繁栄をもたらしています。しかしながら、資本へのアクセスは必ずしも公平に与えられる権利ではなく、一種の特権です。そしてその資本を、持続可能で責任ある形で自社に引き寄せられるかは、貴殿にかかっています。

2 Crossing the horizon: North American asset management in the 2020s,(P34)McKinsey & Company、2021年10月

資本主義とサステナビリティ

今日、株主から従業員、顧客、地域社会、規制当局に至るまで、ほぼ全てのステークホルダーが、世界経済の脱炭素化において企業が果たす役割に期待しています。そして、これから何年もかけて続くグローバルなエネルギー・トランジションにいかに効果的に対応していくか、ということ以上に、投資家による資本配分の意思決定、ひいては貴社の長期的な価値に大きな影響を及ぼすものはほとんど存在しないと申し上げても過言ではないでしょう。

私が気候リスクは投資リスクであると指摘したのは2年前のことです。このわずか2年の間に、地殻変動的な資本の再配分が進んでいます3。サステナブル投資は4兆米ドルに達しています4。脱炭素化に向けた行動や意欲的な目標も広がりを見せています。こうした動きはまだ始まったばかりで、サステナブル投資に向かう地殻変動的な資本の再配分は加速し続けています。エネルギー分野の技術革新に注力する新たなベンチャーへの資本投下、伝統的な指数からよりカスタマイズされたポートフォリオや商品への資本の移動などを含め、資金の動きが一段と活発化することが予想されます。

ネットゼロ社会への移行により、すべての企業、すべての業界が変貌することになるでしょう。ここで問われているのは、貴社がそれを先導するのか、あるいは後塵を拝するのか、ということです。

私たちは、わずか数年の短い期間に、イノベーターにより自動車業界が再定義される過程を目の当たりにしてきました。今やすべての自動車メーカーが電化を目指し、しのぎを削っています。しかしながら、自動車業界は単に変化の最先端にいるだけであり、今後あらゆる業界が、新たに生まれるサステナブルなテクノロジーにより変貌を遂げることになるでしょう。

エンジニアや科学者は、セメント、鉄鋼、プラスチック、海運、陸運、航空、農業、エネルギー、建設といった分野の脱炭素化を実現するために、寝る間を惜しんで働いています。世界経済の脱炭素化は、千載一遇の投資機会になるでしょう。同時に、業種にかかわらず、適応できない企業は取り残されることになるでしょう。一部の企業に取り残されるリスクがあるように、計画の策定を怠る自治体や国にも同じことがいえます。他の地域の雇用数が増加傾向をたどるなか、そうした自治体や国では雇用が失われるかもしれません。経済の脱炭素化が、長期にわたり計画を推進する際に膨大な雇用機会を創出するためです。

今後飛躍するユニコーン企業1000社は、検索エンジンやソーシャルメディアを運営する企業ではなく、サステナブルかつ拡張性のある事業を展開するイノベーターであり、世界の脱炭素化に貢献し、エネルギー・トランジションの恩恵をすべての消費者が享受できるようにするスタートアップ企業が占めるでしょう。一方で、現在、グリーン製品が往々にしてコスト高であるという事実を率直に認めなければなりません。このグリーンプレミアムを引き下げることが、秩序だった公正な形でのネットゼロ社会への移行に不可欠です。かつてない規模の資本が新しいアイデアを求めている現在、既存の企業はネットゼロ経済への移行に成功するための道筋を明確に示す必要があります。業界に創造的破壊をもたらす力を有し、実際に起こすことができるのはスタートアップに限りません。大胆に行動する既存の企業にもそれは可能であり、またそうする必要があります。創造的破壊に不可欠な資本や市場に関する知見、さらに技術的な専門性といった観点からグローバルレベルで優位性のある既存企業が実際に数多く存在します。

我々からこうした企業への問いかけは、以下のようなものです:自身の事業に創造的破壊をもたらすために何をしているか。ネットゼロへの移行にどのように備え、対応しているのか。エネルギー・トランジションにより貴社の業界が変革を遂げるとき、ドードー鳥のように絶滅の道をたどるのか、それとも不死鳥となるのか。

3 サステナビリティ:投資を変える構造的シフト」、BlackRock、2020年2月

4 出所: Morningstar、Simfund、Broadridge。データは、サステナブル投資に分類されるミューチュアルファンド、ETF、機関投資家向け、およびオルタナティブの運用資産を対象としています。またサステナブル投資分類の定義は第三者のデータソースに依拠しており、インテグレーションとエンゲージメントに分類される運用資産は除外しています。なおミューチュアルファンドとETFは2021年10月時点、機関投資家向けとオルタナティブの運用資産は2021年6月時点のデータを参照しています。

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弊社がサステナビリティを重視するのは、環境保護主義者だからではなく、資本主義者であり、弊社のお客様の受託者であるためです。

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弊社がサステナビリティを重視するのは、環境保護主義者だからではなく、資本主義者であり、弊社のお客様の受託者であるためです。それには、経済に起きているすさまじい変化に対し、企業が事業をどのように順応させているかを理解する必要があります。このサステナビリティを重視するアプローチの一環として、弊社は企業に対して短期、中期および長期的な温室効果ガス削減目標を設定することを求めています。このような目標と達成に向けた充実した計画が、貴社の株主の長期的な経済的利益にとって決定的に重要となります。弊社が貴社にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準拠した情報開示を要請する理由もこの点にあります。弊社は、この種の情報開示が企業の将来への適応力を把握する上で必要になると考えます。

ネットゼロへの移行の道のりは不均等で、平坦な道のりではないことはすでに明らかであり、世界経済の様々な分野が、それぞれ異なるスピードで進んでいます。これは、一朝一夕に達成されるのではなく、様々な色調のブラウンから、様々な色合いのグリーンへ段階的に向かわなければなりません。例えば、移行期におけるエネルギーの安定供給、経済性の維持の観点から、天然ガスのような在来型化石燃料は、発電、地域によっては暖房、さらには水素を生産するための手段として重要な役割を果たすことになります。

変化のスピードは、先進国と途上国で大きく異なるでしょう。しかし、すべての国において脱炭素化技術に対するかつてない規模の投資が必要なことに変わりはありません。電球に匹敵するような世界を変える発明が必要であり、その発明に拡張性があり、誰もがその恩恵を享受できるようにするため、投資を促進する必要があります。

こうした高い目標を追求するには長い時間を要するため、その過程において、各国政府と企業は、人々が手の届く価格で、安定して供給されるエネルギー源に引き続きアクセスできるようにしなければなりません。これは、公平かつ公正で、社会的不和のないグリーン経済を創造する唯一の方法です。また、需要を考慮せず、炭化水素燃料の供給面のみに制約を設けるような計画は、経済的に最も余裕のない人々が影響を受ける形でエネルギー価格を押し上げ、結果として気候変動を巡る二極化が深刻化し、取り組みの進捗が損なわれることになるでしょう。

特定のセクターから資本を引き揚げること、あるいは炭素集約度の高い資産を上場企業から非上場企業へと単に移動させるだけでは、ネットゼロを実現することはできません。ブラックロックは、石油・ガス会社から一律に資本を引き揚げる方針はとっていません。弊社のお客様の中には、資本の引き揚げを選択するお客様もいれば、そうしたアプローチをとらないお客様もいます。炭素集約度の高いセクターにおいても先見の明のある企業は、自社事業の変革を進めており、そうした行動が脱炭素化に欠くことのできない重要な要素であると考えます。弊社は、移行を先導する企業への投資は弊社のお客様にとって重要な投資機会をもたらすことになると考えています。また、このような不死鳥のような強さのある企業に資本を振り向けることが、ネットゼロ社会の実現に不可欠になると確信しています。

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資本主義は、社会を形作り、変化をもたらす強力な触媒となることができます。

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資本主義は、社会を形作り、変化をもたらす強力な触媒となることができます。しかし、民間企業のみでこれを実現することは不可能であり、民間企業は気候変動に関する取り組みを取り締まる警察のような役割を果たすことはできません。また、社会全体にとっても好ましい状況にはならないでしょう。各国政府が、移行の明確な道筋、そしてサステナビリティに関する政策、規制、市場レベルでの情報開示のための一貫したタクソノミー(分類体系)を示す必要があります。また各国政府は、移行によって負の影響を受ける地域社会の支援、新興国への資本投下の促進、世界経済の脱炭素化に不可欠なイノベーションとテクノロジーへの投資を行うことが必要です。

政府と民間部門の連携が、記録的なスピードによる新型コロナウイルス・ワクチンの開発につながりました。公的機関と民間の双方の力を生かすことにより、驚くべきことが実現できるのです。ネットゼロの達成のためには、これが不可欠です。

ESG関連の議決権行使の選択肢提供を通じた、顧客のエンパワーメント

ステークホルダー資本主義は、株主に長期的で持続的なリターンを生み出すことにほかなりません。そして、ネットゼロ社会の実現に向けた貴社の計画の透明性が、その重要な要素となります。しかし、これは弊社および他の投資家が企業に求める多くの開示事項の一項目に過ぎません。お客様の資金の受託者として弊社は、企業が株主に対する責任の下、環境・社会・ガバナンス面においてどのような方針を定め対応しているかという点を含め、どのように事業を展開するのかを明示することを企業に求めます。

2018年の書簡で私は、弊社のスチュワードシップ・チームを倍の規模にすると述べましたが、同チームは業界最大規模を誇ります。弊社は、株主総会の時期だけでなく、年間を通じて貴社の状況を理解できるようこのチームを構築しました。貴社の進むべき道を自ら定め、その進捗状況について、私たちに伝えていただくことを期待しています。弊社は、株主総会に上程される議案だけでなく、長期戦略も含めた、貴社が直面する課題や事項について幅広く理解することを目指しています。

他のステークホルダーが企業との関係を見直しているように、多くの人々が株主として、企業との関係を再考しています。弊社のお客様を含め、株主の間で上場企業のコーポレートガバナンスに対する関心が高まっています。

弊社がテクノロジーを活用することで、投資先企業への議決権行使に際して、より多くのお客様に各自の意見を反映することができる選択肢を提供する方法を追求しているのも、このためです。現在弊社は、6,000万人の生活を支える年金基金をはじめとする一部の機関投資家のお客様に、この選択肢を提供しており、今後、その対象範囲を広げていく予定です。

弊社は将来的に、個人投資家を含むあらゆる投資家が、ご要望に従って議決権行使のプロセスに参加する選択肢を持つことができるようにすることを目指しています。

現時点でこれを実現するには規制および運営上の様々な課題が存在しますが、これにより資本主義に民主的な要素がさらに加わり、より多くの意見が反映されるようになります。すべての投資家は、自身の意見を伝える権利を有しています。弊社は引き続きイノベーションに取り組み、他の市場参加者や規制当局と協力しながら、こうしたビジョンを現実のものとすべく前進していきます。

当然のことながら、企業経営者は、従業員の年金、企業の財務部門、もしくはその他の投資等において、株式への投資をモニタリングする責務を負っています。貴社がより直接的に議決権行使プロセスに参加する機会について、貴社の運用担当者に問い合わせてみてはいかがでしょう。

ブラックロックのインベストメント・スチュワードシップ・チームは、弊社の受託者としてのアプローチの中核を成しており、弊社の多くのお客様は、引き続き同チームがお客様に代わって企業と対話し議決権を行使することを望まれています。しかし根本的には、お客様が直接的に議決権行使に参加することが可能となる選択肢と機会は最低限提供されるべきであると考えています。

 


ブラックロックは、企業が社会における自身の役割について熟考し、従業員、顧客、地域社会、株主に資するよう行動することにより、優れた業績を達成できると確信しています。

しかしながら、企業のステークホルダーとの関係が長期的な企業価値にどのような影響を及ぼすかについては、まだ研究すべき点が多く存在します。弊社が「ステークホルダー資本主義センター (Center for Stakeholder Capitalism)を設立し、企業とそのステークホルダーの関係性、そしてステークホルダーとの対話と株主価値との関係性についてさらに探究することに資するよう、調査、対話、議論の場を設けることにしたのもそのためです。同センターでは、第一線で活躍する経営者、投資家、政策の専門家、研究者をお招きし、各自の経験を共有いただき、そこから得られる考察をまとめ、共有したいと考えています。

企業の多岐にわたるステークホルダーの相反する利害に対応することは、容易ではありません。私自身、CEOとしてそれを痛感しています。二極化した世界においては、CEOはある行動を求めるステークホルダーと、まさにそれと正反対の行動を要求する別のステークホルダーに常に対峙することになります。

貴社とその経営陣がそのパーパスを道標とすることがこれまでになく重要になっているのは、このためです。貴殿が、自社のパーパスに真摯に向き合い続け、長期的な視点に重きを置きつつ、一方で我々を取り巻く新しい世界に適応していくことができれば、株主のために持続的なリターンを達成し、あらゆるステークホルダーに資本主義の力をもたらすことになるでしょう。

 

Larry Fink Signature

ラリー・フィンク
ブラックロック・インク
会長兼最高経営責任者(CEO)

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