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GLOBAL INSIGHTS

サステナビリティ:投資の未来

サステナブル投資は長年にわたり、トレードオフとみられていました。つまり「価値観」と引き換えにリターンを犠牲にするものだと考えられてきたのです。しかし、状況は大きく変わりました。膨大なデータが入手できるようになり、分析が高度化し、サステナビリティが個人、企業そして国にとって極めて重要であるという、社会における評価と理解が深まっています。環境、社会、ガバナンス(ESG)に代表されるサステナビリティに関連する重要な要素と企業の長期的な潜在成長力の関連性が認識されるようになってきています。

ブラックロックは、運用プロセス全体においてサステナビリティの視点を導入することを重視しています。この分野にはまだほとんど活用されていない情報があり、投資リスクを明確にすることで、超過リターンを創出できる可能性が秘められているという認識が高まりつつあります。しかし同時に、現在のところデータは不完全で、評価方法も統一されていないため、投資家はこの新しい分野の課題をより明確に認識する必要があります。

サステナブル投資の変化を後押しする3つのテーマ、「1.投資収益を犠牲にすることなくサステナブルなポートフォリオと戦略の構築を目指す」、「2.ESGの総合スコアをさらに掘り下げる革新的なリサーチを利用する取り組み」、「3. 従来の投資戦略へのサステナビリティの組み入れ」について論じます。この分析結果からも、我々はサステナブル投資の今後の発展に強い確信を抱いています。

Summary

  • サステナブル投資はもはやニッチな分野ではなく、主流になりつつあります。
    近年、サステナビリティに特化した投資戦略の運用資産残高は急速なペースで増加しています。投資家もポートフォリオ・マネージャーも、サステナビリティに関する知見を投資に組み入れることに高い関心を抱くようになっています。社会と人口動態の変化、規制の強化や政府の施策に加え、サステナブル投資に対する確信度が高まる中で、サステナブル投資への要請はさらに高まるとみられます。
  • データと分析力の向上により、リターンを犠牲にせずにサステナブル・ポートフォリオを構築することが可能になっています。バックテストで検証したデータを用いたブラックロックの分析によると、ESGに重点を置いた指数が、標準的な指数と同等か、それを上回るパフォーマンスを達成し、ボラティリティも同等の水準にとどまることを示しています。ESGは、バランスシートの健全性など、クオリティに関する既存の評価指標と共通点が多く、ESGを考慮したポートフォリオは、特に市場下落局面において優れた耐性を発揮する可能性が高いことを示唆しています。
  • サステナブル投資のイノベーションを進展させるには、総合評価の中身に着目する必要があります。ESGのデータは進化していますが、まだ不完全です。一方で、新しい技術や調査方法により、サステナビリティ関連データの質は飛躍的に向上しました。例えば、欠落しているデータを推測して補い、投資成果への影響を判断する手法などが挙げられます。
  • 運用プロセスにおいてサステナビリティを考慮する傾向が顕著ですが、それには十分な理由があります。サステナビリティに関する的確な知見を組み入れることで、投資のリスクと機会を包括的に捉えることが可能となります。万能なアプローチはありませんが、サステナビリティの要素を実質的に運用に組み入れることで、運用プロセスを改善する機会は拡大しています。

データの向上

サステナブル投資への関心が高まり、ESGデータを提供する企業は、多様なESG指標の収集と提供にこれまでに増して従来以上に注力しています。例えば、MSCIはこの10年間に、調査対象とする企業の数を4倍以上に増やし、KPI(評価指標)も2倍に増加しました。ただ、データの報告基準が統一されていないため、投資家が多種多様なデータや知見を比較、統合することは困難で、ESGの情報を十分に活かすことができずにいます。ブラックロックは依然として残るデータの不備を好機ととらえ、カスタマイズしたデータベースを構築しました。

対象範囲の拡大
MSCIACWI構成企業によるESGの報告(2009年および2017年)

MSCIACWI構成企業によるESGの報告、2009年および2017年

出所:BlackRockSustainableInvesting、およびBlackRockInvestmentInstitute、MSCIのデータを使用。2018年12月現在。注記:MSCIがESG企業格付システムで使用している150のKPIを検討対象とします。特定のKPIを上記の年に少なくとも1回報告した企業を1データ・ポイントとみなします。潜在的なデータ・ポイントの合計数は、MSCIACWIIndexの構成企業数(2009年は2,607社、2017年は2,622社)を150倍して算出しています。それぞれの円グラフの緑色の部分は企業が実際に報告したデータ・ポイントの割合を表しています。

win-win

政府による規制と技術革新は、Co2排出への依存度が低く、製品やサービスを効率的に生み出す低炭素経済への移行を支える2つの主要な推進力です。
低炭素経済への移行に備えた投資アプローチは、世界的な低炭素経済への移行を乗り切る態勢が整った企業に資金を振り向けることに焦点を当ててつつ、従来のベンチマークを長期的に上回るリターンを達成することを目指します。

時代の移行に備えた投資アプローチは、標準的なベンチマークと比較して、投資成果の改善に加え、より望ましい環境上の成果の実現も目的としています。ブラックロックの仮想株式ポートフォリオを見ると、時代の移行に備えたポートフォリオは、標準的なベンチマークに比べてカーボン排出度が50%少なく、クリーン・テクノロジーの導入が30%多くなっています。

環境の検証
「移行準備状況を考慮した」仮想の株式指数の環境評価指標(2015~2018年)

「移行準備状況を考慮した」仮想の株式指数の環境評価指標

過去の運用実績は現在または将来の成果を示唆するものではありません。指数に直接投資することはできません。出所:BlackRockSustainableInvestingおよびBlackRockInvestmentInstitute、MSCIとSustainalyticsのデータを使用。2018年12月現在。注記:上図は、MSCIWorldex-U.S.Indexに基づく「移行準備状況を考慮した」仮想の株式ポートフォリオにおけるカーボン排出度とクリーン・テクノロジーへのエクスポージャーを表しています。仮想ポートフォリオは、年率トラッキング・エラーを100ベーシス・ポイント以下に抑えながら、ブラックロックの「移行準備状況」のシグナルを最大化するように設計されています。カーボン排出度は、MSCIの定義による、年間売上高で正規化した温室効果ガスの直接排出量(スコープ1)と間接排出量(スコープ2)を表します。クリーン・テクノロジーへのエクスポージャーは、Sustainalyticsが評価したクリーン・テクノロジー収益へのエクスポージャーを0~100の尺度(0が最少で100が最大)で表しています。

Brian Deese
Global Head of Sustainable Investing
Philipp Hildebrand
BlackRock Vice Chairman

MKTGH0819A-881981