Skip to content

中国投資をめぐる5つの通説と実態

  • 通説1:中国の経済成長は輸出に依存している

    実態:2018年の実質GDP成長率6.6%のうち国内消費が占める割合は75%1

    中国は、従来の重厚長大型の経済モデル(オールドエコノミー)では輸出と投資に依存していましたが、現在はサービス業と国内消費が成長を牽引し、GDPに占める輸出の割合は20%1を下回っています。

    <GDPの牽引役は変化している> 

    出所:中国国家統計局。2018年12月31日現在

    中国の経済成長見通しは、AppleのiPhone、トヨタのLexus、Gucciのバッグ、L'Oréalの香水など人気が高い海外高級ブランドと比較し、品質、デザイン、機能面で遜色のない、国内ブランドの成長に大きく牽引されるとブラックロックはみています。中国の消費者にとって、国内ブランドの魅力はやはり低価格であることでしょう。

    1 中国国家統計局、2018年12月31日現在

  • 通説2:中国は債務水準が高いため投資リスクが高い

    実態:企業部門の債務は増加しているが、家計部門と政府部門の債務は世界的にみて抑制されている

    2008年の世界金融危機以降、中国は低金利環境を背景に債務を拡大し、2018年の債務残高は2008年の約5倍となる33兆米ドルまで拡大しました2。地方政府と国有企業はインフラ建設に莫大な資金を投じ、消費者は不動産価格の上昇に乗り遅れないよう、ローンを利用して住宅を購入しました。これを問題視した中国政府は、2017年に債務削減に着手し、社会不安や金融市場の混乱を発生させることなく、2018年には債務の対GDP比率を前年並みの水準に抑えることに成功しました。下図「中国は過剰な債務をかかえているのか」は、中国の債務残高全体に占める家計部門と政府部門の割合が低いことを示しています。

    社債のデフォルト率は2017年の0.2%から2018年には0.8%へと上昇しましたが3、それでも大半の新興国と比較すれば低い部類に入ります。ブラックロックは、行き過ぎたデフォルト懸念により社債の価格に歪みが生じる可能性があるとみており、個別銘柄の信用力を精査することで超過収益を創出できると考えています。

    中国の政府部門と企業部門は、主に国内で人民元建ての資金調達を行っています。対外債務残高(大半は米ドル建て)は約2兆米ドルで4、GDPの15%、外貨準備高の65%に留まっています。つまり、中国の米ドル建て債務の返済能力は十分にあるとブラックロックはみています。

    <中国は過剰な債務をかかえているのか>

    出所:BIS、2018年12月31日現在

    2 出所:BIS、非金融部門債務残高(コア負債)、2018年12月31日現在

    3 出所:Wind、ブラックロック、2018年12月31日現在

    4 2019年3月現在、1.97兆米ドル、中国国家外貨管理局

  • 通説3:中国の正確な経済統計を入手することは難しい

    実態:代替となる指標が豊富にあり、最新情報をリアルタイムで入手できる

    中国の公式統計の正確性を疑問視する投資家もいます。しかし、人工衛星画像、モバイル決済、オンライン売上高といった代替となる情報源を併用し、投資判断に役立つ指針や情報を得ることができます。

    例えば、金属資材の陸上輸送の状況を追跡することで、地域ごとの工場の新設・増設を推定することが可能になります。

    下図が示すとおり、中国が公式に発表している製造業PMIと中国サテライト製造業指数(人工衛星画像の分析を基に算出した製造業活動指数)は長期的には連動しているものの、短期的にずれが生じており、その時期が投資の好機になる可能性があります。

    <公式データと非公式データを併用することで
    経済状況をより明確に把握できる>

    出所:中国国家統計局、SpaceKnow、ブラックロック、2019年2月28日現在。上記は例示のみを目的としています。

  • 通説4:国有企業が中国経済を支配している

    実態:民間企業が経済成長、イノベーション、雇用創出を牽引している

    2019年には、Fortune Global 500における中国本土企業の数が米国にほぼ並びました。

    大部分は中国の国有企業ですが、民間企業も多く選ばれています。一例として、巨大インターネット企業のTencent、Alibaba、JD.com、家電メーカーのXiaomi、保険の中国平安保険(Ping An)やTaikangが挙げられます5。一般に中国の民間企業は国有企業に比べると小規模ですが、効率性と収益性では国有企業に勝っています。民間企業は法人税の50%を納め、GDPの60%を生み出しています。技術革新への寄与度は70%に上り、都市部の被雇用者数の80%、新規雇用の90%を占めています6

    中国政府は、国有企業を中国経済の屋台骨と位置付けていますが、民間セクターが(特に景気悪化局面で)重要な役割を果たしていることも認めています。減税をはじめとする最近の景気刺激策は、民間企業の成長とイノベーション創出を下支えするとみられ、こうした企業の投資妙味はさらに増すと予想されます。2018年末に中国政府は、民間企業の支援を目的として、減税、資金調達コストの引き下げ、行政プロセスの合理化を実施しました。

    5 上記は例示のみを目的としています。言及されている各企業への投資の助言または投資の推奨を行うものではありません。

    6 出所:中国国務院劉鶴副総理、2018年8月20日のSME開発ワーキング・カンファレンスにて

  • 通説5:中国のインフラ・プロジェクトは「無用の長物」ばかりである

    実態:中国のインフラ開発は長期的な社会、経済の目標のもとに進められている

    中国の2018年のインフラ予算は2.6兆米ドルを超え7、同国は世界有数の規模と高度な技術を誇る鉄道、幹線道路、地下鉄、通信システムを運営しています。また、2.1兆ドル規模の官民パートナーシップ(PPP)によるインフラ・プロジェクトの投資による平均リターンは6.5~7.0%と推計されています8

    インフラ投資のリターンとしては低いようにみえるかもしれませんが、プロジェクトによって成果は異なります。中国の高速鉄道は、乗車運賃が他国を下回っているにもかかわらず(下図「走行距離当たりの運賃」を参照)、8.0%という高い経済内部収益率(EIRR)を達成しています9。世界銀行は、乗車運賃や乗車時間の節約、温室効果ガスの排出量、道路の混雑度、地域の経済発展など、様々な面で中国の高速鉄道システムを高く評価しています。

    2018~2019年のインフラ投資の伸びは、前の5年間の年率約20%から一桁台前半まで減速しましたが10、政策当局は中国の長期的な競争力を重視していることから、増加率は再び上昇に転じるとブラックロックはみています。中国政府は、浙江省や広東省など経済開発の進んだ沿岸部において、電子商取引の物流拠点、5Gネットワークや電気自動車の充電設備をはじめとする「スマート・インフラストラクチャー」建設を重点的に進めています。

    <走行距離当たりの運賃>

    出所:中国高速鉄道開発(China's High-Speed Rail Development)レポート、世界銀行、2019年6月

    7 中国国家統計局、2018年12月現在

    8 BRIdata、2019年6月現在

    9 世界銀行が2015年に発表した中国高速鉄道開発(China's High-Speed Rail Development)レポートに基づく2種類の鉄道から算出した推計値。時速350キロメートルの鉄道の経済内部収益率(EIRR)は約9%(地域経済効果を含む)、時速250キロメートル以下の鉄道のEIRRは約6%。

    10 中国国家統計局、2018年12月31日現在

重要事項
当ページの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを基に、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。記載内容は、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。また、米ドル建資産を中心としたグローバル投資において、主に米ドル建で各資産の評価を行った上で書かれたものです。日本の投資家が円から、外貨建資産に投資を行う場合に受ける為替変動の影響は考慮されていないことにご注意の上、参考情報としてご覧ください。記載内容は、日本に居住する個人投資家にはあてはまらない場合がある旨にご留意ください。また、日本のお客様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容は、ブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。また、記載内容の各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等について、ブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。また、ブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。