Part 3 老後の生き方について考える
政策研究大学院大学・東京大学名誉教授 日本医療政策機構 代表理事 黒川清 氏

身近に起きうる「認知症」の
現状と今後の取り組み

日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は28%弱。私たち日本人は約4人に1人以上が高齢者という、世界有数の高齢化社会に生きています。そのような状況の中で懸念されるのが、認知症の問題です。認知症について、現在の状況と今後の日本の取り組みについてご紹介します。

世界の60歳以上の人口は、17年の約9億6,000万人から、2050年にはその2倍の約21億人にのぼると予想されています。高齢化の進行に伴って認知症患者数も20年ごとに2倍のペースで増えており、2050年には世界の認知症患者が1.31億人に達するという予想もあります。

認知症は、いまや世界共通の課題になっているといえます。2013年には英国で「G8認知症サミット」が開催され、世界認知症審議会(WDC)が発足しました。WDCでは、認知症についての世界各国の対策の具体例や研究結果の共有、製薬企業の連携、臨床治験や承認申請のあり方、支援・患者団体、ケアのあり方、企業による活動の共有などを推進しています。18年3月には東京で2度目となるWDCが開催され、その翌日に日本経済新聞社とフィナンシャル・タイムズの主催による日英認知症会議も開催されました。

日本国内の状況に目を向けると、2025年には認知症の患者が700万人に増加する見込みとなっています。認知症関連の医療や介護のコストは2014年時点でおよそ14.5兆円です。このうち約6.2兆円は、家族が認知症患者のために費やす労働時間を費用換算した金額です。こうした目に見えにくい負担も非常に大きいことを考えると、超高齢化社会の日本においては、世界に先駆けて認知症対策を考える必要があるといえるでしょう。

認知症のインパクト

認知症がもたらす世界でのインパクト

出所:World Alzheimer Report 2015を基にブラックロックが作成

高齢化の先頭を走る日本の状況やイノベーションの進展を、世界が注目しています。

近年、評価されている日本の取り組みの1つは、認知症についての啓発です。厚生労働省が策定した「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」のもと、全国で「認知症サポーター」の養成が進んでいます。これは、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする人を増やそうという試みです。90分ほどの「認知症サポーター養成講座」を受講すると「オレンジリング」を受け取ることができ、これを手首につけることで認知症への理解を示しながら、支援に参加する人を増やすことを目指しています。2018年6月末時点で、認知症サポーターの数は約1,036万人にのぼっています。

今後は、国際的な産官学の連携体制(PPP)をつくることが重要だと考えられています。私が代表理事を務める日本医療政策機構(HGPI)では、あるべきPPPの姿について政府への提言を実施しました。具体的には、製薬企業だけでなく医療機関や介護施設、ケアサービス関連企業、地方自治体などの認知症を取り巻く多様な関係者が活用できるデータベースの構築が必要です。また、多くの関係者が連携する中立的な組織で研究・開発を進めるべく、事業の透明性や公平性の確保なども求められるでしょう。

金融やビジネスの領域では、認知症対策への具体的な取り組みが進むことが期待されます。高齢者や認知症当事者が増える中、そうした人々が利用することを前提とした商品開発、デザイン、金融商品(例えば、認知症保険やトンチン保険)が求められるでしょう。さまざまなセクターで高齢者や認知症当事者のための新たな商品・サービスの開発が進み、イノベーションが起きてくるかもしれません。

イノベーションをおこすには、多様なデータの蓄積が必須といえます。これらの取り組みが進展するよう、HGPIでは今後ともグローバルかつ中立的なシンクタンクの強みを生かし、国内外のさまざまな団体と連携して、求められる施策の提言や認知症対策のあり方を模索していきたいと思っています。

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政策研究大学院大学・東京大学名誉教授
日本医療政策機構 代表理事

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