Part 1 これからの日本の「老後」を考える
株式会社野村資本市場研究所 研究部長 野村 亜紀子 氏

高齢化社会の中で考えておくべき
「健康寿命」「資産寿命」

近年、さまざまな場面で「人生100年時代」という言葉が話題にのぼるようになっています。実際、日本の平均寿命は延び続けており、女性の平均寿命は2050年には90歳を超える見通しです。長生きして「100歳」を迎えることは、もはや驚くべきことではありません。

日本の平均寿命の推移

日本の平均寿命の推移

出所:社会保障・人口問題研究所より野村資本市場研究所作成の資料を基にブラックロックが作成

平均寿命が延びて長生きできる人が増える中、「心身の健康を維持できるかどうか」「老後資金が枯渇してしまわないか」という不安を持つ方もいるでしょう。理想としては、「生命寿命」と、心身ともに健康である「健康寿命」、資産が尽きるまでの「資産寿命」という“3つの寿命”を、できるだけバランスよく一致させたいものです。では、そのためにはどのような点に留意すればよいのでしょうか?

まず知っておきたいのは、「健康寿命」と「資産寿命」に強い相関があることです。健康寿命を管理できる方は、資産寿命もきちんと管理できることが多いといえます。

資産寿命を延ばすという観点で重要なのは、これまで一般的だった「退職までに老後資金を用意し、リタイア後にそれを取り崩す」というスタイルではなく、「退職後も資産運用を続けながら取り崩していく」というスタイルを取り入れることです。最近は「運用しながら取り崩す」というニーズに対応した金融商品も登場しています。たとえば「ターゲット・インカム型」と呼ばれる投資信託は、あらかじめ設定された払い出し率に応じて分配金を受け取ることができる仕組みです。このような仕組みの投信であれば、手間をかけることなく「長期で運用しながら計画的に資産を取り崩す」ことが可能になります。

多くの方が高齢になってからも金融サービスを利用することを想定すると、課題も見えてきます。近年、金融業界が解決に向けて取り組みを加速させているのが、認知症が疑われる方への対応です。日本では認知症患者が約500万人いるとみられ、その数は今後も増えていくと予想されています。今のところ認知症を根治する薬はなく、誰にでも起こりうる身近な問題と言えます。

財産管理が困難な認知症の方のセーフティネットとしては、すでに成年後見制度や信託銀行による後見制度支援信託などがあります。しかし、これらは主に個人の“保護”を目的とした制度です。認知症の方の資産を適切に守ることが非常に重要なのはいうまでもありませんが、一方で、資産寿命を延ばすという観点でも議論を進める必要があるでしょう。

このような問題意識のもと、金融機関では今、さまざまな試みが進んでいます。たとえば、保険会社では認知症に特化した保険や長寿リスク対応を目指す個人年金保険が生み出され、家族信託のような新しい取り組みも活発に進んでいます。証券業界では、高齢顧客向けの投資勧誘のガイドラインのもと、サービス提供のあり方が模索されています。このような動きが広がれば、「人生100年時代」に即したファイナンシャル・プランが立てやすくなっていくでしょう。

寿命の延びに伴い、「健康寿命」「資産寿命」が重要に

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出所:Neil et al, Aging, Money and Life Satisfaction: Aspects of Financial Gerontology, 1992より野村資本市場研究所作成の資料を基にブラックロックが作成

金融庁が2017年に発表した「金融行政方針」では、初めて「フィナンシャル・ジェロントロジー」という言葉が取り上げられました。「ジェロントロジー」とは、老齢へのプロセスについて学際的に研究する学問のこと。この学問を金融分野をかけ合わせ、老年期を対象とした「フィナンシャル(金融)・ジェロントロジー」という新たな学術領域もあります。背景には、老齢期の資産管理の重要性に対する意識の高まりがあります。今後、高齢者の資産管理の問題について学問としての研究が進められ、そのあり方が大きく発展していくことが期待されています。

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株式会社野村資本市場研究所 研究部長

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当資料は、2018年4月に開催された「ジャパン・リタイアメント・ラウンドテーブル」において行われたディスカッションの内容をもとに、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。当資料に掲載する内容は、当該ディスカッションに参加された方々の個人的な見解を含み、予告なしに変更することがあります。また、ブラックロック・グループの見解、あるいは、ブラックロック・グループが設定・運用するファンド等における投資判断・運用と一致するものではありません。 当資料中において、個別銘柄に言及する場合がありますが、これは当該銘柄の推奨等をするものではありません。 当資料の情報は、信頼できると判断した資料・データ等により作成されていますが、その正確性および完全性について当社が保証するものではありません。また、当資料中の各種情報は過去のもの、または見通しであり、今後の運用成果等を保証するものではなく、当資料を利用したことによって生じた損失等について、当社はその責任を負うものではありません。さらに、当資料に記載された市況や見通しは、特に断りのない限り当資料作成日現在のものであり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し、予告なく変更される可能性があります。

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