2020 Global Outlook

積極的な政策対応

感染拡大を抑制する抜本的な公衆衛生対策を含む政策対応が求められていると考えています。金融市場を安定化させるために必要な、断固とした市場の先をいく協調的な政策対応が、特に米国で実行されつつあります。重要なのは、金融危機につながるおそれがある、中小企業や家計の資金繰りのひっ迫を食い止めることです。

インプリケーション:一部の株式セクターにおける配当金収入やクレジットなど、利回りが従来よりも枯渇した世界では、クーポン収入が非常に重要となります。

米国の失業率はこれから急上昇する
米国の失業率、失業保険申請者件数および景気後退:1980年―2020年

米国の失業率、失業保険申請者件数および景気後退:1980年―2020年

    

  • 出所

    出所:ブラックロック・インベストメント・インスティテュート、米国労働統計局、データはRefinitiv Datastream、2020年4月時点。

    注記:このチャートは、米国の初回失業保険申請件数と失業率を対数で示したものです。申請件数は、州の件数に基づいて予測しています。失業率の予測は、マクロショックの特殊性を考慮して、急激な上昇が回復局面でいかに早く解消されるかを説明するために使用されています。

  • 米国の労働市場はサービス部門の封鎖により現代史上で最大の混乱を経験しています 。新規失業保険申請件数に沿って失業率が急上昇するとみています。上のチャートをご参照ください。消費者ローンの延滞率は、危機前の平均に近い水準にあります。そして、失業率の上昇によって、相当数の世帯が所得の減少の影響を受けやすくなる可能性があります。
  • 中央銀行の政策は、概ね市場価格の機能不全を緩和し、金融条件を引き締めることでしたが、企業や地方自治体へ信用の流れを確保することへと移行しました。中央銀行、特にFRBは、金融危機時よりもはるかに短い時間軸の中で、あらゆる手段を素早く使いこなし、新しい手段を見い出してきました。FRBのバランスシートはわずか2ヶ月で50%膨れ上がりました。
  • FRBは、経済がコロナウイルスショックを乗り越えるため「何でもやる」アプローチに立って、中小企業の従業員の給与や地方自治体への新たな融資支援として2.3兆ドルを発表しました。米国の政策担当者は、中小企業を支援するために、すでに可決された2兆ドルの財政支援パッケージへの追加を検討しています。ユーロ圏の財務相は、欧州安定化メカニズムの利用も含め、同様の路線で広範な支援を提供する一連の措置を開始することを視野に入れています。今は政策の成功が鍵を握っています。日本は新たな景気刺激策を可決し、財政支出計画をGDPの約10%に引き上げることを決定しました。
  • 金融政策の余地が限られた中で、手段が残されていないことに焦点が当たっており、結果として、裏目に出る可能性があります。また、一部の政策は、中央銀行の独立性を損なうのではないかという疑問が投げかけられています。英国財務省は、ギルト市場を通してではなく、BOEから直接資金を調達する手段を有効にしましたが、この動きを時限的措置としています。
  • ブラックロックは、各国政府の財政支出が2020年にこれまで推定されていた水準をはるかに上回り、医療体制や中小企業や家計を支援するとみています。
  • 政策の協調には、適切なガードレールが不可欠です

結論:厳格なロックダウン措置が長引くほど、財政出動が増えると考えています。政策の実行が鍵とみています。

執筆者
Philipp Hildebrand
ブラックロック副会長
Jean Boivin
BIIヘッド
Elga Bartsch
BIIマクロリサーチヘッド
Mike Pyle
BIIチーフインベストメントストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト

重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

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