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独連邦議会選挙結果:苦境に立つメルケル首相

メルケル独首相は、連邦議会選挙での勝利を受けて政権4期目入りを果たしたものの、連立交渉の難航と議会での分裂に直面し、ユーロ圏の統合強化に向けたフランスとドイツの取り組みは減速する公算が大きくなっていると考えています。

  • メルケル首相は政権4期目入りを果たしたものの、主要政党は1940年代以来、最悪の結果となり、難しい連立交渉を迫られることになるでしょう
  • この結果を受けて、ユーロ圏の統合深化に向けたフランスとドイツの取り組みの勢いは弱まるとみられます
  • ドイツ財務大臣という強い権限を有するポストが連立交渉とユーロ圏の将来の鍵を握ると思われます


ブラックロックは、今回の選挙結果が金融市場に与える影響は限定的であるものの、ユーロ圏の強化に向けた取り組みは勢いが弱まる恐れがあると予想します。右派政党である「ドイツのための選択肢」の獲得議席数が予想を上回る13%に達したことからも、選挙結果はユーロに対する懐疑的な感情が域内に依然根強く残っていることを示しているとも考えられます。

メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)と、その姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)は3分の1の票を獲得したものの、議席数は1949年以来最低となりました。これまで連立を組んできた社会民主党(SPD)は得票率が20%にとどまり、1940年代以来最悪の結果となった後に、連立政権には参加しない意向を表明しています(※)。そのため、メルケル首相はさしあたり、ビジネス寄りの自由民主党(FDP)と、環境保護を訴える緑の党との3党連立を視野に交渉を進めるとしていますが、気候変動、移民、ユーロ圏統合といった重要課題に対する両党の政策は真っ向から対立している様相です。

FDPが連立政権に参加すれば、ユーロ圏の統合深化政策は限定的なものとなる可能性があります。FDPはユーロ圏の共同財務省の創設に消極的で、財政赤字を抑制する財政規律の遵守に注力すべきと考えているとみられます。ただ、この連立政権を率いることになった場合でも、メルケル首相にはまだ統合強化を推進する余地はあると思われます。FDPは、ドイツ株式にとってプラス材料となりうる減税と規制緩和を訴え、移民規制強化を提唱するとみられます。

焦点はおそらく、ドイツの財務大臣の交代があるかどうかです。メルケル首相が強い権限を有するこのポストをSPDに提示した場合、SPDを再び連立交渉の場につかせることができるのか(※)。そのような結果になれば、ユーロ圏周縁国に対するドイツの姿勢を弱めることになり、財政支出を増大させる要因となり得ます。欧州委員会はすでに、ドイツの潜在成長率を高め、他地域の経済活動を活性化するため、公共投資の拡大を要求しています。

ドイツ連邦議会の分裂を受けて、メルケル首相は汎欧州的な施策の支持に、より慎重に対処せざるを得なくなると思われます。

マクロン仏大統領の誕生で、フランス・ドイツの協力関係は再び強まっています。メルケル政権は、マクロン大統領が提唱するユーロ圏の共同財務省創設の構想については、慎重ながらも議論に前向きであり、危機対応を目的として創設された「欧州安定メカニズム」を、財政資金をプールする「欧州通貨基金」へ改編する提案を支持しています。しかし一方で、ドイツは加盟国が保証するユーロ圏共同債の発行には反対を表明しています。

ドイツ連邦議会の分裂を受けて、メルケル首相は汎欧州的な施策の支持に、より慎重にならざるを得なくなると思われます。また、ユーロ圏経済が堅調に拡大していることも、大規模な改革への機運が盛り上がらない恐れもあります。イタリアでは来年春に予定されている総選挙の結果、ハング・パーラメント(単独過半数となる政党がない宙ぶらりんの議会)となる可能性が高く、そうなれば改革の範囲はさらに限られるでしょう。

ブラックロックは、トレンドを上回る持続的な経済成長と堅調な企業収益見通しを理由に、欧州において、国債や社債よりも株式に投資妙味があると考えます。コスト基盤の多くを海外に置いている企業は、当面、ユーロ高の影響を一部相殺することができるでしょう。米国では米連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策の正常化を推し進め、インフレ率は上昇に転じる局面を迎えつつあり、米ドルは対ユーロで上昇余地があるとみています。ユーロ圏のコア・インフレ率は低水準にとどまり、欧州中央銀行(ECB)は金融緩和策を継続することが見込まれます。

※2017/9/25時点の見方であり、その後の政治、経済、市場の変動等については反映しておりません。

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