2020 MIDYEAR GLOBAL OUTLOOK

投資見通し

重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

広範な見通し

ブラックロックは早い段階で、新型コロナウイルス(Covid-19)が、短期的には過去に前例のない経済収縮をもたらすと結論付けていました。しかし、類を見ない政策対応によってダメージが軽 減され、トータルでのGDPの落ち込みは世界金融危機時を下回るとも判断していました。

こうした見方を踏まえて、2月下旬にサステナビリティ投資で歴史的な機会を活用することが望ましいと考え、3月下旬には戦略的 ポートフォリオにおけるリスク資産の活用を主張しました。ブラックロックはその後、急騰を演じた株式については、戦略的フレームワークの中で格付けを中立へ見直しました。クレジットに関しては オーバーウエイトを継続しています。高いスプレッドの水準が、デフォルトリスクの高まりを補う、とブラックロックは見ています。

比較的短期の投資ホライズンに立った戦術としては、2月28日に慎重姿勢へ転じ、株式とクレジットの見通しを中立にしました。 4月6日には、緩やかながらも再び、リスク選好のスタンスへ戻し、 強力な政策対応を考慮してクレジットの見通しをオーバーウエイトにしました。クオリティの高い資産についても選好しています。こうした姿勢は、米国株式、投資適格債、クオリティ・ファクターに対する考え方にも反映されています。

ブラックロックは米国株式の見通しを中立へ引き下げました。財政刺激策の一巡や大統領選挙をめぐる不透明感などのリスクがその背景にあります。新興国についても慎重姿勢へ転じました。 一方、欧州株式の見通しを引き上げました。シクリカルな回復局 面における最も魅力的な投資の機会とみているからです。クレジットについてはオーバーウェイトを継続。世界的な利回り水準の 高さ、中央銀行による購入などがその理由です。

戦術的視点

ブラックロックは、コロナショックがマクロに及ぼす影響や強力な政策対応を考慮し、全体的には緩やかなリスク選好姿勢を維持します。政策面での後ろ盾があり、健全な資本構造を有する企業で構成されるクオリティの高い資産の選好を通じてバランスを保っています。

こうした見方を踏まえ、ブラックロックでは株式よりもクレジットを選好します。クレジットでは、投資適格債(ブラックロックはクオリティを選好)、 ハイイールド債およびユーロ圏周縁国の債券をオーバーウエイトにしています。共通するテーマは、中央銀行による新たな資産購入、安定した金利環境、高利回りの資産を見い出すこと が困難な世界における魅力的なインカムです。

新興国株式と米ドル建て債券の見通しを引き下げました。新興国の多くはコロナ封じ込めに悪戦苦闘し、衝撃を和らげるための手立てを講じる余地も乏しいのが現状です。

欧州株式に関してはオーバーウエイトへ引き上げました。欧州株には新興国よりも魅力的かつタイミングからみても格好の投資機会が存在しているとみています。これらは欧州における公衆衛生対策や政策対応の強化に起因しています。

米国株式に関しては、大幅なアウトパフォームの後、中立へ引き下げました。政策の息切れ、 新型コロナウイルス感染の再拡大、米中間の緊張の高まり、波乱含みの大統領選挙などがリスク要因として挙げられます。日本を除いたアジア株については、中立へ引き下げています。成⾧と安定を秤にかける中国の姿勢が米中間の新たな緊張をもたらし、これに伴い投資家心理を悪化させる可能性があるためです。

ファクター投資では、将来のシナリオのブレに対 する適切な耐性が備わっている、との観点からクオリティへのオーバーウエイトの割合を引き上げます。バリューファクターに関してもシクリカルな上昇の可能性があると見て、中立へ引き上げる一方、ミニマム・ボラティリティについては中立へ引き下げました。モメンタムに関しては中立を維持しま す。

市場見通し

広範な資産クラスに関する戦略的(⾧期)・戦術的(6~12カ月)見通し:2020年6月

資産 戦略的見通し 戦術的見通し
株式 Strategic equities - neutral Tactical view - neutral
利益や配当支払いをめぐる厳しい環境を考慮し、戦略面では、中立へ見直しました。新興国については、若干のオーバーウエイ トへ調整。先進国に対するエクスポージャーに関しては中立を維持します。戦術的にも、株式については中立です。耐性を評価してクオリティ・ファクター、シクリカルなエクスポージャーという観点で欧州株をそれぞれ選好します。
クレジット Strategic equities - neutral Tactical view - neutral
ここ1年間アンダーウエイトとしていたクレジットについて、戦略的にはオーバーウエイトへ引き上げました。スプレッドの大幅なワイド 化がデフォルトや格下げのリスクをカバーすると考えます。戦術面では、中央銀行による社債購入など異次元の対応が下支えするとみています。流動性が一時的に逼迫するリスクは残りますが、クーポン収入は、イールドの枯渇した低金利の世界においてはきわめて大事です。
国債 Strategic equities - neutral Tactical view - neutral
国債を保有することの戦略的な重要性は大幅に低下しました。 利回りが下限とみられる水準に近付いているからです。金利が ⾧期にわたって低水準にとどまるとの見通しは、⾧期的には、株式相場の下落局面における資産クラスの安定化機能を危うくさせています。戦術的には、中立を継続します。過去に類を見ない政策対応によって利回りが押し下げられているためです。
キャッシュ Tactical view - neutral Tactical view - neutral
キャッシュに関しては中立としています。キャッシュはクレジットに関する見通しを決める際の補完材料です。キャッシュの一部は、株式と債券の両方を下落させる供給ショックに対するバッファーという意味を持ちます。
プライベート市場 Strategic equities - neutral Tactical view - neutral
非上場のクレジットを含む非伝統的な資産への投資には、バリューを付加し、分散投資の対象を広げる可能性があります。 機関投資家の多くは、プライベート市場へさほど投資していません。流動性リスクを過大評価しているためではないかと考えています。プライベート資産のエクスポージャーはさまざまな形態をとり ますが、一部の資産のバリュエーションや、同資産に内在する不確実性などを考慮し、全体として中立を維持しています。

注記:見通しは米ドルベース:2020年6月。当資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の事象の予想あるいは将来の成果の保証を意図したものではありません。当資料中の情報は、利用者が、特定のファンド、戦略あるいは証券に関する調査または投資アドバイスとして依拠すべきものではありません。

各資産の見通しでは、個々の資産クラスの広範な市場に対するパフォーマンスについて、確信度の違いを基に見通しを示しています。

各資産の詳細な見通し

6~12カ月間の資産別見通しと世界の資産クラス全体の戦術的見通し:2020年6月

Legend Granular
株式

資産 戦術的見通し
米国 米国
米国株式を中立へ引き下げます。財政刺激策の縮小と新型コロナウイルスの感染拡大のリスクによって、市場の好パフォーマンスが脅かされる恐れがあります。米中間の新たな緊張と大統領選挙を控えた国内の分裂も重しになります。
欧州 欧州
欧州株式をオーバーウエイトへ引き上げます。確固たる公衆衛生対策や景気刺激的な政策対応に支えられた経済活度の再開で、循環的な上昇局面にあります。
日本 日本
日本株式を中立へ引き上げます。強力な財政政策や公衆衛生対策が急速な正常化をもたらすと考えます。
新興国 新興国
新興国株式をアンダーウエイトへ引き下げます。パンデミックの拡大が懸念され、その衝撃を緩和するための政策措置を行う余地あるいは 積極的姿勢が、(すべてではないものの)多くの国で後退していると考えます。
アジア(日本を除く) アジア(日本を除く)
日本を除くアジア株式を中立へ引き下げます。米中間の新たな緊張がリスク要因です。成⾧と金融の安定を両立させようという中国の目標によって、同国のウイルスの悪影響を緩和するための政策対応が比較的抑えられたものになっています。
モメンタム モメンタム
モメンタムについて中立を維持します。このファクターは現在、一方でテクノロジー株、他方でディフェンシブ株が大部分を占めており、グロース企業および安定が見込まれる一部企業に対する投資家のエクスポージャーにつながっています。
バリュー バリュー
バリューに関して中立へ引き上げます。現在進行している経済活動の再開がシクリカルな資産を下支えし、⾧期に渡ってアンダーパフォームしてきたバリュー株のリバウンドを誘発する可能性があります。
ミニマム・ボラティリティ ミニマム・ボラティリティ
ミニマム・ボラティリティを中立へ引き下げます。シクリカルな資産が経済活動再開の恩恵に浴し、つれてディフェンシブ銘柄などへのエクスポージャーの必要性が減少する可能性があります。
クオリティ クオリティ
クオリティのオーバーウエイトの割合を高めます。このファクターは、パンデミックと経済の変化に付随するさまざまな現象に対して最も耐性のあるエクスポージャーと考えます。

 

債券

資産 戦術的見通し
米国債 米国債
米国債を選好します。利回りの大幅な低下はリスク資産の急落に対する備えとしての機能を低下させますが、⾧期債利回りが他の先進 国市場の国債のそれよりもさらに低下する可能性があります。
物価連動債 物価連動債
物価連動国債(TIPS)は中立とします。金利の大幅な低下で、新規購入の魅力が減退しています。ただ、⾧期的には依然、インフレ率上昇の可能性があるとみており、戦略的アロケーションではTIPSを選好します。
ドイツ国債 ドイツ国債
ドイツ国債のアンダーウェイトを維持します。現在の利回り水準では、大きなリスク・イベントへの備えにはさほどならないとみられるためです。 また、EU提案の復興基金案の資金調達目的で発行される可能性のある債券と投資資金の奪い合いになるケースも考えられます。
ユーロ圏周縁国 ユーロ圏周縁国
ユーロ圏周縁国の国債は最近、好パフォーマンスを記録していますが、オーバーウエイトとします。欧州中央銀行による量的緩和拡大やその他の政策対応で、金利の一段の低下が見込まれます。
グローバル投資適格債 グローバル投資適格債
グローバル投資適格債のバリュエーションは上昇しましたが、オーバーウエイトとします。中央銀行による資産買い入れと全般的な金利の安 定が、このセクターの支援要因になると考えます。
グローバル・ハイイールド債 グローバル・ハイイールド債
ハイイールド債は最近、アンダーパフォームしていますが、インカムの源泉としてオーバーウエイトを維持します。エネルギー関連のハイイールド 債については投資を回避します。原油価格下落で、近いうちに満期を迎える債券の借り換えが困難になっているためです。
新興国債券(米ドル建て) 新興国債券(米ドル建て)
米ドル建て新興国債をアンダーウエイトに引き下げます。複数の新興国におけるパンデミック拡大、エネルギー輸出企業に対するエクスポージャーの高さ、政策対応の余地の乏しさなどがその理由です。デフォルト・リスクが過小評価されている可能性があります。
新興国債券(現地通貨建て) 新興国債券(現地通貨建て)
現地通貨建て新興国債については中立を維持します。クーポン収入が魅力的なためです。通貨の調整が進行し、バリュエーションも低下しました。金融緩和や財政刺激策の実施で、一段の通貨下落のリスクは残っています。
アジア債券 アジア債券
アジア債は中立へ引き下げます。多くの国でパンデミックが封じ込められていることやエネルギー関連のエクスポージャーの少なさはプラス要因ながら、米中間の新たな緊張や中国の抑制ぎみの政策による悪影響がリスクです。

過去の運用実績は現在あるいは将来の成果の信頼できる指標ではありません。指数に直接投資することはできません。注記:見通しは米ドルベースです。本資料は特定の時点における市場環境の評価を示すものであり、将来の成果の予想あるいは保証を意図したものではありません。本資料中の情報は、特定のファンド、戦略あるいは証券に関する投資アドバイスとして依拠すべきものではありません。

執筆者
Philipp Hildebrand
ブラックロック副会長
Jean Boivin
BIIヘッド
Elga Bartsch
BIIマクロリサーチヘッド
Mike Pyle
BIIチーフインベストメントストラテジスト
Scott Thiel
BIIチーフ債券ストラテジスト

重要事項
当レポートの記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。また当資料でご紹介する各資産の見通し(米ドル建て)は、米国人投資家などおもに米ドル建てで投資を行う投資家のための見通しとしてブラックロック・グループが作成したものであり、本邦投資家など日本円建てで投資を行う投資家の皆様を対象とした見通しではありません。 記載内容は、米ドル建て投資家を対象とした市場見通しの一例として、あくまでご参考情報としてご紹介することを目的とするものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではなく、また本邦投資家の皆様の知識、経験、リスク許容度、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的等を勘案したものではありません。記載内容はブラックロック及び弊社が信頼できると判断した資料・データ等により作成しましたが、その正確性および完全性について保証するものではありません。各種情報は過去のもの又は見通しであり、今後の運用成果を保証するものではなく、本情報を利用したことによって生じた損失等についてブラックロック及び弊社はその責任を負うものではありません。記載内容の市況や見通しは作成日現在のブラックロックの見解であり、今後の経済動向や市場環境の変化、あるいは金融取引手法の多様化に伴う変化に対応し予告なく変更される可能性があります。またブラックロックの見解、あるいはブラックロックが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。

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